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(株) AGUA JAPAN

■「無機系、不燃性にこだわる」

業種:石綿(アスベスト)処理剤の開発・販売
(株) AGUA JAPAN


石綿(アスベスト)処理剤を開発・販売する(株) AGUA JAPAN(東京都港区、遠山元樹社長)の主力処理剤が、東京電力福島第一原子力発電所の事故処理に採用された。放射性物質の飛散防止剤として、放射能を帯びたがれきからの粉塵飛散を防止するために使われたのだ。

このアスベスト処理剤は「アグアA−3000」。遠山社長がこだわり抜いた「無機系」と「不燃性」が採用の決め手になった。海運会社や商社を経て独立。平成15年に船舶用表示盤を製造する会社を立ち上げた。しかし、間もなく製品運搬船内のアスベストが原因で、海外で荷役を拒否されるトラブルが起きた。

顧客の造船所が困る姿を見て、遠山社長は以前からの知り合いだった研究者の協力で船舶用アスベスト処理剤の開発を決意した。開発のポイントは二点。船員の健康被害に配慮するため揮発性有機化合物(VOC)など人体に悪い材料は厳禁とし、無機系で開発すること。もう一つは船内には陸上移動時用の動力源も積んでいるため不燃性であること。

同処理剤は一般に有機系の溶剤が多かった。「固める」という性質上、樹脂系材料が便利なためだ。何度も試行錯誤を繰り返した末、平成19年に課題の点をクリアする処理剤を完成させた。しかもその開発中、海洋政策研究財団(シップ・アンド・オーシャン財団=東京)の技術開発基金を2年連続で受けることができた。

中小企業が研究開発投資に充てられる資金には限りがある。これを乗り越え、「中小企業だからこそ品質の良い製品を」との信念で開発に成功した。原発事故での飛散防止剤に求められたのは、飛散防止効果はむろん、火災や爆発、他の物質との化学反応を起こさないことなどだった。

候補として挙がったいくつかの製品から無機系、不燃性にこだわって完成した同社製品が選ばれた。今後「アグアA−3000」をベースとした新製品開発や海外への輸出なども目論む。また並行して同社が推進する、廃アスベストの処分工法の普及活動にも注目が集まる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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