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2008年の記事

 

 

 

 

 

株式会社アンペール

 

アナログは先端システムのキーテクノロジー

業種:無停電電源装置等開発
株式会社アンペール


「アナログ技術は難しい」−エレクトロニクス関係の技術者が口を揃える。パソコン、テレビ、携帯電話、ゲーム機など多くの機器がデジタル技術進化の中から生まれ、世の中を大きく変えてきた。それとともにアナログ技術はオールド技術として葬り去られた感さえあった。ところがデジタル全盛の中で、アナログ技術は先端システムのキーテクノロジーとして重要度を増している。株式会社アンペール(東京都新宿区)はアナログ技術を「リアル・ワールド技術」と呼んでいる。

草梛高志社長が「リアル・ワールド」という言葉を生み出した。コンピュータと現実世界のインタフェースの役割を担う計測や制御技術などを指しており、アナログ技術が駆使されている。パソコンとキーボードがあればあらゆるモノ作りが可能だと思われがちだが決してそうではない。草梛社長は「それはあくまで仮想の世界。機械を操作し、けがをしながら開発をするのがアナログの世界であり、リアル・ワールドだ」という。制御などモノ作りに欠かせない技術はアナログに負っている部分が極めて大きい。だからこそリアル・ワールドなのだ。

IT技術をフルに活用してもデジタル処理では対応出来ないケースが多い。技術的問題を解決するためにアナログ技術は不可欠だ。同社は1971年に創業、マイクロプロセッサを用いたハードウェアと関連ソフトの開発を皮切りに、無停電電源装置(UPS)やコントローラーなどを開発、さらに動力や熱などを制御する回路や微弱信号を処理する回路など、アナログでなければ実現が難しいものを世の中に送り出してきた。

デジタル技術の集大成と言われている携帯電話でさえディスプレイやマイク、通信デバイス、充電器など、さまざまな部分でアナログ技術が用いられている。一方でアナログ技術を理解し、回路設計までできる技術者が極めて少なくなっている。同社はデジタル処理で対応できない技術問題を、長年培ったアナログ技術で解決し、製品化しているため、エレクトロニクス業界でも高い評価を受けている。

同社は真空実験室(茨城県つくば市)と技術提携し、アナログ技術の塊といえる電離真空計測器の開発に力を入れている。「中小ものづくり高度化法」の認定を受けたものだ。完成すれば気圧計測の向上が図れ、製造現場で大いに役立つとみられている。急激に進むデジタル社会の中で、周囲に惑わされることなく、アナログ技術を大切に育ててきたことが、中小企業でありながら世界に通じる企業として成長している理由だろう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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