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2008年の記事

 

 

 

株式会社アスク

 

「もの作りのコンビニ」で高収益体質に

業種:金属加工メーカー
株式会社アスク

中小企業においては、誰も真似できない特異な技術に特化するオンリーワン型が他社との競争で最も優位に立つことは言うまでもないし、これを究極の目標とする企業も多い。素晴らしいことである。ただ一方では、現実にユーザーニーズは種々雑多に存在する。その広範な需要に対し、技術力を基盤に他社に負けないスピードと利益を生み出すコスト競争力を備え、いかに的確に供給していくか、という観点から経営の方向を決めるのも一つの立派な戦略と言える。

金属加工メーカーのアスク(大阪府枚方市)は、経営のキーワードに「もの作りのコンビニ」を堂々と掲げている。試作部品から小物精密部品まで幅広く手掛ける。半導体、液晶メーカーの試作品加工が中心業務だが、驚くべきことは利益率の高さ。売上高経常利益率2ケタを3期連続でクリアしている。なぜこんなにも高収益体質なのか、という問いに対し、山下篤哉社長は「積極的な設備投資のお陰です」ときっぱり答える。

この3年間合計で、年商に匹敵する設備投資を行っており、所有する加工機械は120台に達する。同社長は「昔はベテラン技術者しかできなかった加工が、今は若い技術者でも簡単にできる」とし、続けて「最新鋭機を導入することで技術者が機械に張り付く時間も減り、ワンマン・ツーマシン(一人で2台操作)の生産が可能になる」とその効用を強調する。

利益体質を生む2つ目の理由は、スピードを最優先する受注体制だ。技術者として鳴らした見積もり担当者が常時3人待機し、「図面を見れば瞬時に製造工程を考え、価格を提示できる」(同社長)ようにしている。3つ目は清潔で快適な職場環境。1989年に大阪府守口市で設立した同社は、住工混在と手狭な工場に悩んだ末に2004年に移転。粉塵や機械油を吸い取るミストコレクター15機を配置、トイレも帝国ホテルと同等の内装を施し、バイキング形式の食堂や体育館も設置した。

「社員間に、いい環境を維持しようという気持ちが働き無駄な仕事が減って生産性も上がる」(同社長)との考えがあった。現在、工場では油の臭いがほとんどしないし、工場内に足を踏み入れると、あちこちから元気な挨拶が飛んでくる。試作部品加工など「コンビニだからできる」速く、上手い加工―中小企業の生きる道は幅広く奥行きがあることを痛感させられる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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