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2009年の記事

 

 

 

アトムエンジニアリング

 

物流改善システムの提供、これからが成長期

業種:製造・物流管理システムのソフトウエアの開発・販売
アトムエンジニアリング

IT機器を使ってオフィスや現場の改善を提案するソフトウエア業界は、まさに乱立模様。この業界は間口が広いので特色ある技術を伴う提案力がないと生き残れない。そこで、中小企業がこの業界で生きていこうとするなら、手掛けるテーマを自分の体に合わせて絞り込むことが大事。あれもこれもと色気を出して手を出せば、個性は失われ淘汰されることは火を見るより明らかだ。

アトムエンジニアリング(宇都宮市)は、製造・物流管理システムのソフトウエアを開発、販売している。倉庫や製造現場のロジスティクスを主戦場に選んでいる。戦う分野を絞ったことについて、片岡泰三社長は「絞り込むことによって、中小企業でも市場を深く耕せるから」と答える。自分の身丈に合った分野で、専門的な技術を発揮しなければサバイバルは難しいという考えだ。創業して四半世紀を過ぎたが、「ソフトウエア会社は、技術と経験の積み重ねでお客様から信頼を得るもの」(同)という基本路線を貫いている。

ところで気になる社名の由来だが、ある大手電機メーカーが約30年前に行った営業戦術の愛称にちなんで付けたという。片岡社長がその頃から気に入っていた名称だ。小売店を経由する従来型の販売ではなく、異業種に積極的に拡販する中核部署のニックネームがアトム部隊だった。従って目指す営業は「Attack(攻め)の営業」。例えば、システムを開発する技術者は一般に中に閉じこもりがちだが、目を外に向け、「自分たちの目でマーケットと商材を見定めよう」(同)と、口すっぱく語りかけている。

同社のコア技術は通信制御。倉庫を例にとると、モノの動きをセンサーと端末の両方を使って管理する。入庫から出庫、出荷までの一連の過程をコンピューター上で一元管理するやる方だ。つまり、ベルトコンベヤーやフォークリフトに自動位置認識端末を付けて動きを即時にとらえ、しかも受発注費用や保管料など工程で生じる費用を、モノの流れと連動させてデータ化するのである。

片岡社長は「OA機器上での作業を『商流』、モノの動きの管理を『物流』と位置づけて、この両方の管理システムを提供する」ことにこだわっている。ここが同社の強みにもなっているし、これまで勝ち抜いてきたキーワードともなっている。ただ同社長は、「まだ本当の成長期は来ていない」と語り、現在の世の中の物流改善に対するニーズに、これまで以上の手応えを感じており市場の広がりを確信している。企業の大きな目標である「トータルコスト削減」の応援団ともいえる同社の動きから目を離せない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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