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(株)こころ

■「“筋金入りIT活用”の居酒屋チェーンが外食市場切り開く」

業種:居酒屋の経営
(株)こころ

牛丼チェーンが人工知能を使った集客作戦を始めるなど、情報技術(IT)の活用で収益アップを目指す企業が、外食産業でも目に付くようになってきた。そんな外食業界にあって、中部地域で居酒屋チェーンを展開する、こころ(浜松市、渡邉一博社長)は“筋金入り”のIT活用企業となる。同社を創業した社長、副社長は、世界でも指折りのIT企業でエンジニアやコンサルタントとして活躍したキャリアを持つのがその要因。外食×ITの可能性の追求が起業の目的の一つでもあって、「ある実務や業務に適用すると劇的な改善、効率化が図れる」(渡邉社長)とするITパワーで、激戦外食市場を切り開いている。

こころは平成19年、渡邉社長と佐藤充晃副社長が設立した。二人ともそれまで勤めていた外資系IT企業を退社し、ITから外食ビジネスへの“華麗な転身”を図った。「IT企業でのBtoBビジネスは、人の喜びや笑顔と遠いことに疑問を抱き、コンシューマービジネスの極みとなる外食市場での起業を決意した。学生時代に経験した居酒屋でのアルバイトが楽しかったのも起業に踏み切った一因」。渡邉社長は転身の理由をそう説明する。

当初は渡邉社長の出身地、広島にちなんだ広島風お好み焼き屋など、試行錯誤でいくつもの業態に挑んだ。その中で、手応え十分だったのが居酒屋ダイニング「てんくう」。そこで、同店の多店舗展開に乗り出して、これまでに浜松市などに6店舗を開設し、オープン間近な店舗も控えている。中期的には「中部エリアを中心に、居酒屋ダイニングで30店舗、売上高30億円を目指す」というビジョンを打ち出している。

同社の大きな強みとなるのがITシステム。「飲食業界にはIT人材が少ないと感じる。ITに強いというだけで一つの価値があるように思う」(渡邉社長)との自負のもと、社長、副社長のツートップがキャリアを生かして、さまざまなシステムを構築、稼働させてきている。開発したシステムの外販・導入コンサルティングも視野に入れており、渡邉社長は「外食とITの融合により、シナジーとイノベーションを創造する」と先を見通している。

同社では、外食産業で深刻化するばかりの人手不足への対応策として、留学生の組織的採用に乗り出している。一方で「静岡県下でも激増しているインバウンド(来日外国人)の集客に向け、メニューの多言語化やWi−Fi対応を進めている」(渡邉社長)など、時代の変化への適応に余念がない。社名のこころは、標榜する『お客のこころを満たし、従業員のこころを育て、こころに笑顔を咲かせる外食企業』に由来する。そう遠くない日に“こころに笑顔を咲かせる人工知能”が、どこかの居酒屋にお目見えするかもしれない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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