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2010年の記事

 

 

 

株式会社ディムコ

■余力を有効活用できるファブレスメーカー

業種:スチールベルト、スプロケット等の設計、製作
株式会社ディムコ

ファブレスメーカーが注目されている。自社の工場を持たず、製造は他のメーカーへの委託により、研究開発や販売に特化している企業だ。自前の工場を持たないため設備投資は不要だし、製造のための要員も抱えなくて済む。社員は研究開発に集中できる。無論、製造のほとんどの工程を外部に任せるため、相手側の企業との意思疎通を十分に行う必要がある。

株式会社ディムコ(横浜市)は自前の工場を持たない企業の一つである。同社は金属ベルトのメーカーだが、製造は協力工場や子会社に委託している。商社マンだった多賀哲夫社長は、電機部品や機械部品とともに金属ベルトを米国から輸入していた。独立心が強かった多賀社長は昭和61年に金属ベルトなどを扱う商社を設立、とくにステンレス製の金属ベルトは食品メーカーや半導体メーカーから高い評価を得て業容拡大の足がかりを築いた。

ステンレス製の金属ベルトは熱伝導性が高く、加熱や冷却が樹脂のベルトなどに比べ早くできるほか、洗浄も簡単で常に清潔に保つことができ、耐久性も高いことなどから、食品や薬品、半導体業界などから引っ張りだこになったわけだ。ただ、当時は金属ベルトの大半を米国からの輸入に頼っていたため、ユーザーから即納を求められても対応できないケースがあった。

そのため、金属加工を手掛ける協力工場を探し、量産化と短納期化を実現し
たわけだ。平成19年には製造を担当する子会社として天竜精密工業を設立、完全なファブレスメーカーとなった。工場を持たない分で研究開発・設計、販売などに力を入れることが可能になるなど、ファブレスメーカーのメリットを享受している。そうした中から受託先企業の製造ラインの省スペース化を実現したり、溶接部のないベルトを開発している。

同社は国内ではこの分野のオンリーワン企業といえるほどだ。「オンリーワン企業になれば自然にナンバーワン企業になれる。そのためには高い技術力が必要」(多賀社長)なことは言うまでもない。ファブレスメーカーとして不得手な分野は外部に任せるという分業精神が働いているからこそ、余分なことを考えずに、高い技術力を求め、研究開発に力を注げることにもなる。今後もファブレスメーカーは増えそうだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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