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英弘精機(株)

■「グローバル・ニッチに照準」

業種:気象計測機器の製造販売
英弘精機(株)


グローバル市場とニッチ(隙間)市場。相反するように思える両市場を掛け合わせた"グローバル・ニッチ"に照準を合わせた企業がある。気象計測機器を製造販売する英弘精機(株)(東京都)で、長谷川壽一社長は「モノを作る以上、グローバルマーケットを前提にしている。その中で、あるニッチな分野において世界一となるモノづくりを目指している。そもそも気象自体がグローバルなのだから」と意気込んでいる。

昭和2年に創業の同社は、海外、特に欧州の最先端の技術、製品を輸入し日本の研究者に提供する研究支援事業からスタートした。輸入品の取り扱いを通して、徐々に自らモノづくりも手掛けるようになり、そのなかで、日射・放射計測センサーをはじめとする気象関連製品が大黒柱に育って今日に至る。福島原発事故などに伴う再生可能エネルギーへの期待の高まりを受け、太陽電池の性能評価装置など太陽電池関連分野の実績も大きく伸ばしている。

同社の特許製品である回転式日照計が気象庁アメダス観測網に採用されるなど、気象庁には昭和20年代から長年にわたって計測機器を提供してきている。グローバル・ニッチを意識するようになったきっかけも実は気象庁にあるという。「平成2年前後から気象庁が気象測器の輸入促進を始めて、あっという間に多くの測器が海外製品に取って代わられてしまった。その時、気象のマーケットは極めてニッチな半面、気象自体が地球全体を対象としたグローバルな分野なのだということに気づいた」。(長谷川社長)

気象の"業界"では、計測器を利用する研究者たちが、グローバルに情報交換をしていて、学会もグローバル。しかし、研究者らの数は決して多くはなく、マーケットサイズも知れている。海外勢の日本進出を機に、長谷川社長はそうした業界模様を掴みとって「われわれにもグローバル展開ができるはずだ」と確信した。

同社の海外売り上げ比率は、目下のところは20%だが、長谷川社長は「将来的には分母を大きくした上で50%を目指したい。海外で評価されると、国内の競争が有利になるメリットも大きい」と、海外・国内両事業のシナジー効果による成長加速をもくろんでいる。グローバル・ニッチへの挑戦はこれからが本番だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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