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東日本金属(株)

■昔ながらの鋳物つくりは次の時代へ

業種:鋳物業
東日本金属(株)

鋳物は、熱して溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後、型から取り出して作った金属製品だ。人類が金属との接点を持ち始めて以来の技法と言われていて、紀元前 3,000年ごろ、メソポタミアの南部に国家都市を建設したシュメール人が最初とされている。

昔ながらの手作業で鋳物を製造している企業がある。東日本金属(株)(東京都墨田区:小林謙一社長)だ。創業は大正 7年。小林社長の祖父が、蕎麦屋から転じたという。時代は第一次世界大戦中、鋳物業界の将来を見据え、全くの異業種に転じたと思われる。工場は戦後、野田の醤油工場を移築したもので今も変わらず使い続けている。砂型の砂も山砂を使用、溶解炉も今でこそガス炉だが、その形は創業時のままだ。

社長自身は、約30年前に父の会社に入社した際、製造ではなく、営業にまわることになった。父が引退する際に「誰かに製造技術を継承したいのだが」と言った時に、「自分に教えて欲しい」手を挙げたのが小林社長の長男だった。今では、工場を切り盛りしている。

自動化する鋳物企業が多い中、あえて昔ながらの手作業で一つ一つ丁寧につくっていて扉や窓などの金具製造を得意としている。明治安田生命ビル、旧岩崎邸、上野表慶館など文化財の改修に携わった。発注先からは形状はもちろん、「つくり方も当時のままにしてくれ」と。特に明治安田生命ビルの大改修には、約3年間会社一丸となって取り組んだ。

この時代にあって、比較的まだ近所付き合いの多い墨田。知り合いの誰からも「コバケン」の愛称で呼ばれ、人気者の小林社長。 PTAの役員や地域活動も率先して行っている。近所だけで10社以上あった鋳物企業。今は 3社になっている厳しい現状ではあるが、「今後も、社会に役立つ製品をつくり続けたい」と笑顔で話す。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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