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2007年の記事

 

 

 

株式会社キプロ

 

■新製品には新しいマーケットの開拓が不可欠

業種:木製住宅部材の製造
株式会社キプロ


高知県南国市に本社を置く株式会社キプロは、従業員20人の小さな住宅部材メーカーである。人口5万人の地方都市に立地し
ながら、全国に製品を納入している。

同社は、建具の職人だった上山義明社長が1968年に創業し、その後長い間、地元の学校校舎や体育館といった公共の建物向けを中心に、ロッカーや下駄箱など作りつけ家具を製造してきた。しかし、県内の限られた市場では受注の大幅な伸びは期待できず、逆に競争は厳しくなる一方であった。そこで同社では、1990年代後半から新しい製品の開発に着手する。得意の木材を組み合わせて集成材を製造する技術を高度化し、わん曲した集成材を作るノウハウを確立して特許を取得したのである。この新しい素材を用いて、「湾曲玄関框(かまち)」「曲線手すり」「曲線階段」といった一般住宅用のユニークな新製品を次々に登場させた。

ここで同社の成功を確かなものにしたのは、マーケットを県外に求めたことだ。開発した新製品は、例えば曲線階段なら関連造作材や施工を含めると通常階段の数台分からと高価であり、それまで取引のあった県内の工務店経由の販売では需要が限定されてしまう。そこで上山社長は、大都市に拠点を持ち高級注文住宅を販売する大手ハウスメーカーに飛び込みで営業し、少しずつ販路を開拓していった。技術に裏打ちされた地道な営業は功を奏し、新製品の注文は次第に伸びた。仕上がりの美しさから、友人の家で見た人が「ぜひうちにもお願いしたい」といってくるケースも増えており、引きもきらない注文が舞い込むようになった。作りつけ家具から住宅部材に完全に転換した現在では、首都圏、関西圏を中心に、県外向けの販売が9割以上を占めている。

画期的な製品を開発する会社は多いが、そのすべてが事業として成功するわけではない。新しい製品には新しいマーケットが必要であり、そのための努力も不可欠であることを、株式会社キプロは教えているのだ。
                      


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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