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2009年の記事

 

 

 

(株)呉竹

 

100年の伝統企業は新時代のアートも提供

業種:墨やペンの製造
(株)呉竹

墨やペンを製造する(株)呉竹(奈良市:綿谷基 社長)は伝統を守りながら先端分野にもチャレンジしている企業だ。明治35年(1902年)の創業以来 107年、一貫して墨の製造を行っている。創業者が大手墨屋から独立。かつては職長をやっていて、腕は非常に良かったという。

「品質なら負けない」という思いから消費者である学校を廻ったところ、高く評価され、文具店に置いてもらったのが原点である。今では、なかなか家庭や企業では墨を使うことが少なくなり、売り上げは会社全体の 5%にまで落ち込んだが、それでも伝統を守り作り続けている。墨玉を手でもみ、足で練り、角を削り、灰を使って乾燥させるなど手作業も多い。「職人も育成しながら、しっかりと伝統は守っていきたい」と綿谷社長。

高度成長期の(株)呉竹は大きく変貌を遂げていく。昭和33年には日本初の墨滴(書道用液)を開発。磨る必要のない墨は授業時間に制約のある学校では需要があると確信していた。「墨は磨るという行為が心を鍛え、精神を安定させるのだ」という考え方からすぐには受け入れられなかった。墨で生きてきた呉竹にとっては痛いほどわかる話でもあった。

ここで、諦めるわけにいかず、再度、今度は明確に全国の書道の主任先生を宛先にして送ったところ「これは素晴らしい」と大反響、一気に広まっていった。 昭和38年にはサインペンを開発・発売。昭和48年には「筆ペん」を誕生させた。 本物の筆と同じように「とめ、はね、はらい」ができる初めての商品だった。 この筆ペんが呉竹の知名度を一気に上げることになった。

しかし、今も大変な逆風の中生きている。時代はパソコン、プリンター。手書きすることが極端に減っている。そんな中新たな時代のアートも提供している。写真を美しくレイアウトして、記憶に残る想い出をより鮮やかに残していく「スクラップブッキング」、はがきに絵を描き、文字を書いて真心を込めて贈る「絵てがみ」だ。100年企業は未来を見据えて歩み続けている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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