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(株)奄美大島開運酒造

■「黒糖焼酎造りで斬新な発想」

業種:黒糖焼酎醸造
(株)奄美大島開運酒造


サトウキビを原料に黒糖を製造し、さらに黒糖から焼酎を造る。これが奄美大島の名産、黒糖焼酎だ。この黒糖焼酎に、この10年余りで大きな変化が生まれている。従来、アルコール分30度の焼酎だったのを25度にするなど、女性や若い人にも飲みやすくした黒糖焼酎が全国的に評判を呼び、人気商品になっているのである。

黒糖焼酎業界に旋風を巻き起こしたのは、(株)奄美大島開運酒造(鹿児島県宇検村、渡慶彦社長)。奄美群島に30社近くある黒糖焼酎製造会社のうち、最も遅れて参入した企業だ。平成8年に、奄美市で宴会場などを営むホテルを経営していた現会長が、納入業者であった小規模な焼酎酒造所の依頼で経営を譲り受けて設立したのがきっかけ。

「経営を引き継いだものの製造する人が誰もおらず、全くの素人集団」(渡社長)でスタートした。杜氏を探すことが最初の仕事だった。ところがこの素人集団が、「素人ならでは」(同)の斬新な商品を生み出す。社内に女性だけのチームを作り、「飲みやすさ」をコンセプトに商品開発をすべて任せた成果が間もなく表れるのだ。

アルコール分、ボトルの色、形、商品名はあっと驚くものばかり。アルコール分25度のほか、「ボトルメーカーのやめた方がいいとの忠告を押し切り」(同)敢行したブルー色のボトル、また「れんと」(音楽用語でゆったりの意)という商品名など異色づくめ。これが平成15年頃の全国的な焼酎ブームにも乗り、圧倒的な支持を受けた。

ブームが去っても売り上げを伸ばし、平成22年には黒糖焼酎メーカーの売り上げナンバーワン企業に躍り出た。最後発から何と14年ほどでトップ企業に大躍進したわけだ。その製造法も、クラシック音楽のスピーカーを貯蔵タンクに密着させて3カ月余り熟成させる「音響熟成」を取り入れた。これらの過程では従業員一人ひとりの業務に対する意識改革にも成功している。素人の斬新な発想が大きな成果を生んだが、これをカジ取りした経営者の力量はさすがというほかない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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