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2012年の記事

 

 

 

(株)メトロール

■「IT活用し世界シェア獲得」

業種:機械式タッチセンサー製造
(株)メトロール


中小企業の中には国内はもとより世界シェア何割といった業績を上げているという例がある。この典型的な企業が、機械式タッチセンサーメーカーの(株)メトロール(東京都立川市、松橋卓司社長)。同社は工作機械用途では世界シェア7割を占める。70社以上の工作機械メーカーに使われ、海外向け売り上げが全体の5割以上とまさに「グローバル化企業」の感がある。

同社のタッチセンサーは工作機械の刃先位置決めの「原点出し」に使われる。工作機械のドリルやミルは金属を削り続けると消耗して刃先が短くなる。タッチセンサーがあれば加工のたびに正確な長さを確認して刃先の動きを補正でき、数マイクロメートルの精度を競う精密加工には必須の機能だ。

松橋社長は「日本の小さな中小企業でも世界と直接つながれる。夢のような時代だ」と語る。ただ同社を見渡しても外国人がたくさんいるわけでもなく英語のスペシャリストも日本本社では2人だけ。同社を成長させたのは高い技術力とITインフラである。その第1歩が2000年に開設したEC(電子商取引)サイト。センサーが故障して交換品を取り寄せたい海外ユーザーの窓口になった。サイト開設の翌日にはもう注文が入った。その後中国と台湾、インドに販売子会社を持つまでになった。

英語と中国語、ドイツ語とホームページを充実させ、特にコンテンツをいかにわかりやすいものにするかに力を注いだ。製品カタログのように詳細スペックや用途、応用例を解説。工作機械メーカーなどのエンジニアの悩みとその解決を物語風にも。これを課題解決事例集「精密位置決め改善ナビ」「精度向上」「省スペース化」などテーマごとの解決事例につなげる。これを窓口にして製品のスペック確認、注文と一連の流れができている。

フェイスブックの活用にも積極的。タッチセンサーの最終ユーザーである工作機械のオペレーターやエンジニアに向けたサイトで情報交換のコミュニティーができている。海外エンジニアからの投稿もある。クレジットカード支払いやECサイト、フェイスブックは誰もが使えるインフラ。ホームページの翻訳もインターネット広告も少額で試しながら広げていった。「特別難しいことはしていないのだけどなあ。あとはやるか、やらないかだけでは」という。中小経営者に勇気を与える言葉になれば幸いだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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