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2010年の記事

 

 

 

株式会社ティ・ディ・シー

■極められることで顧客も拡大

業種:超精密鏡面加工
株式会社ティ・ディ・シー

最近「軽薄短小」という言葉を耳にしなくなった。高度経済成長を支えた「重厚長大」が2度にわたるオイルショックで行き詰まり、エレクトロニクスなどの分野で「より軽く、より薄く、より短く、より小さい」を合い言葉に製品開発を進めた経緯がある。2000年に入り、本格的に「ナノ」の世界に突入、製品も「超」に移っている。加工や組み立てのためにマイクロマシンが生まれ、人の目では確認できないほど微細な部品も登場している。

「超」を作り込むメーカーの一つに株式会社ティ・ディ・シー(宮城県利府町)がある。同社はダイキャスト加工からスタート、ラッピング加工、鏡面加工へと進化を続けてきた。今では超精密鏡面加工分野では他の追随を許さないまでになっている。平面度、平行度、寸法、球面、曲面、角度など、ほとんどの加工要素で超精密領域に達している。

同社の研磨はシンプルなラップ加工が中心だ。しかし世の中のニーズは、鏡面に仕上げれば良いというのではない。あらゆる加工要素で図面との誤差がゼロに近いものでなければユーザーが満足しない。同社のラップ加工の技術もニーズに応える形で進化を続けてきた。「例えシンプルな加工技術であっても極めることで超精密の領域に到達した」(赤羽亮哉社長)ことになる。

アルミや銅などの金属、合金、セラミックス、新素材、ガラス、プラスチックなどあらゆる素材に対して超精密鏡面加工ができる。しかもRa(面粗さの平均値の規格)1ナノメートル以下を可能にしている。これは1回当たりの研磨量を超微量にすることで実現したものだ。「超微量」といっても、一夜にして実現できるわけではない。極めるために不断の努力があったことは言うまでもない。こうした結果、平面加工の場合、面のうねりも50平方ミリメートルで50ナノメートル以下に抑えることができるという。

積み上げて実現した加工技術がユーザーを増やすことに繋がる。「できそうもない加工はティ・ディ・シーに持っていけば何とかしてくれる」ということが口コミで広まり、数年前まで数百社足らずだった取引先が、現在では2500社にも拡大しているという。もちろん東西に営業所を開設したり、積極的に精密関係の展示会に出展したことも効を奏しているが「ティ・ディ・シーは無理難題でも解決してくれる」という評価の定着が大きい。「これからも、さらなる超精密化というニーズに応える」(赤羽社長)考えだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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