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(株)長井製菓

■「「東京うど」の根を使い菓子製造」

業種:菓子製造業
(株)長井製菓

日の光に当てずに育て、白い色でシャキシャキとした歯ざわりが特徴のうど。「東京うど」は東京を代表する特産品として全国一の出荷量を誇るという。しかし通常うどで使われる部分は茎部分のみで、うどの根を食材にするという試みはほとんどなくただ捨てられていた。「これではもったいない。お菓子に使うことはできないか」と考えたのが、(株)長井製菓(東京都立川市)の長井泉代表取締役だ。

立川市は東京のうどの70%を産出するうど産地。そこに本社を構える長井氏は農家と相談し、捨てられていたうどの根を譲り受け、これを機械で洗浄してお菓子に取り入れるための開発研究を始めた。今から6年ほど前のことだ。開発は困難を伴い、あきらめかけていた矢先、うどの根を特殊技術で加工することにより思ったような味をようやくにして得ることができた。

長井氏は長野県の農家から菓子製造会社に就職し、その後現在の会社を興した創業社長。昭和54年頃、甘納豆卸専業で1日4トン半もの甘納豆を製造し、この分野ではプライスリーダー的存在だったこともある。その後進物用中心に和菓子製造を行ってきた。同氏は「自分も農家の人も一生懸命作った商品にこの値段では駄目だ」ということに対しては納得できないという信念とプライドを持つ。このため自社の小売店舗を本社周辺地域に複数展開し、これを中心に堅実な販売戦略を進める。

現在うどを使った商品は3つ。うど味噌味を忍ばせたどら焼き「東京うどら」、うど独特の苦みとさわやかな風味を白あんとバターが入った生タイプのソフトサブレで焼き上げた「東京うど生サブレ」、それにうどクリームをサンドした「東京ダクワーズ」がそれ。これらは立川市の昭和記念公園にある昭和天皇記念館でも陳列、販売している商品だという。

地域資源を活用し、しかも捨てられて活用されることがなかったうどの根に目をつけて商品開発する事業は、国の地域資源活用事業に認定(「東京うど生サブレ」の開発)され、地域の活性化にも貢献している。大衆販売に流されずコストを重視してきた強い信念が商品の一つひとつに表れている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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