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2007年の記事

 

 

 

 

 

名古屋特殊鋼株式会社

 

■モノづくりに挑んだ商社

業種:特殊鋼の商社
名古屋特殊鋼株式会社


商社は商社。モノづくりはモノづくり。どちらも専門分野とされがちだが、名古屋特殊鋼株式会社(愛知県犬山市、鷲野光司社長)は、その専門の壁をプラス志向で乗り越え、商社としてスタートの歴史を持ちながら、いまやメーカー機能を持った商社へと異色の発展をしている。

同社の創業は1965年(昭和40年)。特殊鋼の商社として旗揚げした。特殊鋼といえば、自動車部品、工作機械、航空機部品など多種多様な場面で使われ、それぞれの分野の産業発展に欠くことのできない重要なものが多い。種類は幅広く、一方で高い専門性も求められる。商社の活躍が大いに求められる分野だ。もちろん、内外の特殊鋼の動向をきっちりスピーディーに掌握していなければならない。技術動向も、市場動向もだ。特殊鋼の素材の動向も握っていなければならない。国際商品が多いからだ。ビジネスの妙味があるところだが、一方で同業の競争も厳しい。予期した利幅を得られないことも少なくなかった。

「安定した利益をなんとか確保できないか」(鷲野社長)。行き着いた答えは足元にあった。日頃扱ってきた金型の材料からヒントを得て、「金型の製造」に挑むことになったのだ。モノづくりは厳しいが、軌道に乗れば付加価値も高い。鷲野社長の挑戦は続く。金型メーカーとしては後発だが、特殊鋼商社として、「素材のプロだった」ことは大いに優位だった。職人わざといわれる金型製造も折からの情報化時代の波に乗り、CAD/CAMを積極的に導入、後
発のハンディを逆にメリットに転じていった。商社からモノづくりへ、壁をプラス志向で越えていく積極経営を同社は貫いた。

いまやトヨタ自動車、アイシン精機はじめトヨタグループのほか、ホンダ、日産自動車など大手自動車メーカーに顧客を広げている。2002年(平成14年)には米国ケンタッキーに金型製造会社を設立、04年にはそこを拠点にプレス金型へ本格参入、着々と事業領域を拡大・深化させてきている。商社として養われてきた市場感覚、国際感覚は遺憾なく金型製販にも十分活かされている。モノづくりにありがちの独りよがりは同社にはない。「お客様の満足がなければ、私たちの満足はなく、お客様の繁栄がなければ、私たちの繁栄もありません」との鷲野社長のことばは、さすがに特殊鋼商社&金型メーカーならではの響きがある。        




著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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