東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2007年の記事

 

 

 

 

 

株式会社仁多産業

 

■出かけるときは傘を忘れるな

業種:アパレル加工
株式会社仁多産業


松本清張の推理小説「砂の器」の舞台、古くは日本書紀や古事記にも登場する奥出雲。そんな歴史と伝統のある地に流行の先端を行くアパレル加工企業がある。株式会社仁多産業(島根県仁多郡奥出雲町亀嵩、川西一夫社長)は、形態安定加工やレーザーによるジーンズ加工を中心とした衣料品加工の特許取得によって独自の商品開発を行っている。当社は、昭和56年にクリーニング業から出発した企業である。“衣料品を洗う”ことから、カジュアルウェアの“洗い加工”へと展開し、その後特殊加工のウェイトを高めていった。

今や若者だけでなくファッションにうるさい中高年にまで人気のダメージジーンズ(わざと傷や古色を付けたジーンズ)は、当社の製品を人気歌手が着用してNHKの紅白歌合戦に出場したあたりから注目を浴びるようになった。当初は、流行に敏感な若者向けの雑誌やTVで話題となっていたが、現在では幅広い世代に人気が広がっている。当社は、今ではその加工目的別に、中国上海近郊に2社、フィリピンに1社の現地法人を抱えるに至っている。また、取引先は国内にとどまらず、アメリカの大手カジュアルメーカーやフランスのオートクチュールなど、海外の有名ブランドからも注文が来るなど、現在も順調に成長を続けている。

そんな当社も、これまでに独自展開した衣料品のアウトレットショップの店舗開設費や研究開発費等の資金繰りなどには、相当の苦労を重ねてきており、加えて過去には取引先の倒産にも遭遇し、存続の危機に見舞われたこともある。しかし、その都度、従来から深いつき合いをしてきた信用保証協会や地元金融機関から経営アドバイスや融資を得て、危機を乗り越えてきた。

今では順調に成長を続ける当社は、それらの機関とは情報交換も含めて、現在も積極的に関係強化に努めている。出雲には「(天気の良いときでも)出かける時は傘を忘れるな」という言葉がある。語源は、「宍道湖や日本海の影響でこの地は天候が不順であるので、外出時には用心のために傘を持っていけ」というもの。それが転じて、「日頃から何事にも用心を怠るな」という意味に使用されている。当社は、日頃からファッションを始めとする流行や情報に鋭敏なアンテナを張り、地元の保証協会、金融機関などとも良好な関係維持に努めるなど、まさにその言葉を実践している。そこら辺に、技術力の高さだけでない当社の成長の秘密がありそうだ。



著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2007年の記事に戻る