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2011年の記事

 

 

 

(株)ノムラ

■「寝たきりをつくらない」

業種:介護用ベッド製造
(株)ノムラ

東京都大田区が運営する工場アパート「テクノフロント森ヶ崎」に入居している(株)ノムラ(東京都大田区:野村 恭三 代表取締役)の野村社長は、機械式立体駐車場装置、灌漑施設、自動倉庫などを設計・開発してきた実績を持つ。現在は、日米で特許を取得した介護用ベッド「リハビリ名人」を日々、改良・製造している。

野村社長は、30代前半の時に大病を患った経験がある。ベッドで寝たきりの生活。食事は全くできず点滴のみ。2年近く経って、ようやく椅子に座れ、食事も少しずつできるようになると、その一つ一つに意味を感じるようになっていた。今まで考えていなかった座るという行為、噛むという動作。平成12年、ある思いを持って、全く経験のない中、介護の世界に飛びこんでいった。

「絶対に寝たきりをつくらない」。立体駐車場に取り組んだ技術と経験を活かし、ベッドが横にスライドする機能を持たせた。より起き上がり、立ち上がりを容易にし、介護者にとっても抱え込む必要がない。「離床(りしょう)して、トイレに一人で行けることが、本人や介護する者にとっても非常に大切なこと。何より、本人の尊厳を守ることにつながる」と話す。

「リハビリ名人」はベッドではあるが、膝の曲げ伸ばし、両脇の手すりを利用して立ち上がりの練習などリハビリに重点を置くことが大きな特徴だ。そういう意味で介護用ベッドではなく、その名のとおり「リハビリ用ベッド」であろう。顧客一人々々とじっくり話し合い、個人に合った疾患別のベッドを考え、開発していく。「ワンツーワン方式なんだ」と表現する。パーキンソン病の方には、関節を柔らかくする適度な運動ができるよう、脳疾患の方にはストレッチができるようなベッドを一台ずつ丁寧に仕上げていく。

野村社長は「介護では、本人が誰かに頼ったり、周囲が必要以上にやりすぎてはいけない。大事なのは本人と家庭が自立していくこと」と強調する。また、「世界に先駆けて高齢化社会を迎えている日本は、世界から注目されている。介護分野は近い将来、日本の輸出産業にしなければならない」。患者に合ったベッドと日々、向き合いながら、日本の産業の将来を見据えている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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