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2006年の記事

 

 

 

 

 

(株)パモウナ

 

■国内工場にこだわり専門化、高度化

業種:家具製造
(株)パモウナ

どの分野であれ、厳しい市場という荒波を乗り越えて、企業を舵取りし、発展させていくことは並大抵のことではない。家具業界で、食器棚に狙い所を絞り込み、業界の大きな変動の中で活路を開いた(株)パモウナ(名古屋市、森宏社長)は、専門化と高度化をキーワードにその荒波を越えた一社だ。

90年代半ば、ライバル社は次々と海外に工場を移していった。ベトナム、インドネシア、中国と、相次いで海外に工場進出、逆に、低価格輸入品の形で国内に戻ってきた。あえて海外展開を選択せず、国内工場にこだわった同社は、それまでの低価格の若者向け多目的家具メーカーからの脱皮を急いだ。低価格輸入品の攻勢の一方で、ホームセンターの出現、通信販売の広がり、組み立て式家具の台頭など家具市場、家具流通形態が大きな変貌期に突入し始めたことも、同社に変化を迫った。

若者市場から、ブライダル向け、ファミリー向けへとターゲットを移したのが変化のひとつ。二つ目は、商品の間口を広げず、食器棚に特化する路線を選んだことだ。「国内で生き残るには、どこかの分野でトップシェアを取るくらいに極める必要がある」(森社長)というトップの強い決意がこの選択の底にあった。後発参入だったが、逆に「開発部門には、失敗しても良いから市場に無いデザイン、機能を持つ商品開発を求めた」(同)。電子レンジや炊飯器なども置ける家電ボードを供えた食器棚、奥行きを広げて調理スペースを備えたもの、下方部分を引き出し化したもの、カラーデザインに工夫したもの、などなど、後発ならではの自由な発想の商品開発を次々と行い、市場に投入した。当初は、従来のイメージが払拭されず、脱皮に苦労したが、次第に、新しいデザイン、機能の食器棚を打ち出すメーカーとして評価が高まり、やがてトップクラスのシェアを握るまでに。見事、激動の家具市場で生き残った。

いまは、さらに、センスアップを図り、食器棚を中心とした家具メーカーを越えて、“住空間の演出者”への道を歩もうとしている。「プライドと情熱を持ったインテリアイノベーターを求める」とホームページでメッセージを投げかける同社、人材育成の点でも新しい局面に差し掛かったことを示している。住宅市場の活況、少子高齢化の進展、団塊世代の広がり、ネット販売の本格化など、住空間、住市場は新たな要素の中で再び変革期を迎えている。同社が新たな波の中でどう選択・集中していくか、市場は注目している。



著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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