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2008年の記事

 

 

 

 

ポーライト株式会社

 

用途からアプローチするモノ作り

業種:粉末冶金
ポーライト株式会社

モノ作りへのアプローチ方法は何通りかある。(1)素材からアプローチする(2)完成品を念頭にアプローチする(3)用途からアプローチする(4)技術からアプローチする−などが考えられる。粉末冶金を利用する場合、用途から考えていくのが近道のようだ。ポーライト株式会社(さいたま市)は粉末冶金技術を用い、かつ粉末冶金の特性も生かしながら小型モーターやマイクロモーター用の焼結含油軸受などを生産している。

金属素材は用途によって、硬度や粘度、優れた加工性など様々な特性が求められる。無論、耐久性や耐熱性、強度なども要求される。粉末冶金の場合、完成品の用途やニーズに合わせ、金属粉を選択する必要がある。その金属粉を混合し、プレス成形、さらに焼結後、金型で固めて寸法や形状を整える方法で機械構造部品に仕上げることになる。

通常は金属材料から用途を考えるが、粉末冶金は用途に合わせた金属を作り出せるのが最大の特徴だ。複数の金属粉を混ぜ、焼結することで、硬さや柔らかさなどを調整できる。しかも、空孔の中に油を含ませることが出来るため、軸受けなどに利用した場合、放熱性がありノイズも発生しないなどの特徴がある。途中での給油も不要でオイルレス軸受けといわれているほどだ。

この焼結含油軸受製造をコアに、より精度の高い製品作りのため、プレス成形やサイジングのための金型技術にも力を入れ「中逃げメタル」の製造法も考案した。長い軸受けは、どうしても内径の精度が悪くなってしまうが、短い軸受け2つを一体化し中間部を逃がす形状にすることで精度の向上に成功している。こうした技術は完成品にする上で、クリアしなければならない技術ともい
える。

同社では今、新たな基盤技術にチャレンジしている。粉末冶金は製品の内部に空孔が生じる。焼結含油軸受には空孔がメリットになるが、強度の面で他の製法に比べ限界がある。この欠点を克服するため07年度に経済産業省の「中小ものづくり高度化法」の認定を受け、アモルファス金属粉末を原料にした製造技術の開発を進めている。アモルファスは高強度で耐食性に優れ、軟磁性を持っているため、マイクロマシンの部品などに役立つとみられている。アモルファス金属粉末という新材料だけに、用途を考える前に基盤技術を確立する必要がある。同社はこの技術を構築することで、新たなモノ作りに挑むことになる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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