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ルセット・ナイン(株)

■「冷却システムで"食の革新"目指すベンチャーが始動」

業種:食品の冷凍
ルセット・ナイン(株)


和食ブームが世界に広がっている。本物の日本食に対するニーズは高まるばかり。そんな流れに対応し、世界に日本の「美味しい」を届けるための仕組みづくりに乗り出したベンチャー企業がある。ルセット・ナイン(東京、大塚早希子代表取締役)がその会社で、同社では、コールドチェーンならぬ「コールドバリューチェーン」を築き上げ、食の世界にイノベーションを起こそうとしている。

同社は独自の冷却技術を持つマルシェマシナリー(松江市)とコンサルティング会社のダズリング・ナイン(東京)の共同出資により昨年10月に発足した。ダズリングで「食」関連の取り組みに力を入れていた大塚さんが、マルシェマシナリーの冷却システムと出会い、その性能に惚れ込んで会社設立に至った。同システムは高電圧や超音波の活用で、生鮮品をマイナス温度で保存・解凍し、解凍時のドリップ(食品の内部から流出する液汁)の減少、食材の酸化や乾燥の防止、長期の品質保持など、さまざまな特性を発揮する。

ルセット・ナインでは、この冷却システムを核とする「凍結代行センター」のビジネスモデルを練り上げた。名前の通り、各事業者が取り扱う食材の凍結・保存を同社が設置するセンターでまるまる引き受けるアウトソーシングサービスの一種であり、現在、第一号モデルを立ち上げ中。"時間との戦い"に汲々としている既存コールドチェーンに対し、「時間と距離のコントロールを可能にして、新たな価値とライフスタイルを実現する"コールドバリューチェーン"となるものです」(大塚代表取締役)と、その革新性を説く。

同社では代行センターを生産地と消費地近郊の双方に設立、運営していく計画だ。例えば、生産地では、廃棄されてしまう規格外の野菜や果物をセンターに集めて、一時加工したうえで凍結、保管し、適切な時期にスムージー用として販売するといった事業をもくろんでいる。「ハラルメニューなど、特殊な食材を取り扱う事業者にもうってつけです」(同)とPR。

同社では貿易会社と組み、海外和食レストラン向け代行センターを国際展開する計画も煮詰めている。「和食ブームを背景に、美味しくて、安心・安全な日本の食材に対するニーズは拡大するばかり」(同)と見定めてのプロジェクトである。コールドバリューチェーンを国内外に首尾よく構築できたあかつきには、「花卉やヘルスケアなども取り扱いたい」(同)と"横展開"も視野に入れている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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