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2010年の記事

 

 

 

正和電工株式会社

■ファブレス化成功の秘訣は信頼

業種:バイオトイレ製造等
正和電工株式会社

生産のための工場を持たないファブレスメーカーが増えている。例えば半導体の場合、生産まで手掛けると膨大な設備投資が必要で、とても中小企業では対応できない。ところが、半導体技術やアイディア、ノウハウは大企業に負けない中小企業・ベンチャービジネスが意外に多い。こうした中小企業が独自の半導体を設計し、生産設備を持つ企業に委託生産することで、中小企業でも半導体メーカーとして成長が可能だ。

正和電工株式会社(北海道旭川市)は「工場を持たないメーカー」(橘井敏弘社長)である。同社は照明用器具の卸からスタート、今ではバイオトイレのメーカーとしての方が有名になっている。バイオトイレで「第2回ものづくり日本大賞」のほか日本発明振興協会の文部科学大臣賞、発明協会や中小企業異業種交流財団の中小企業庁官賞など数多くの表彰を受けている。2009年には「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれているほどだ。

このバイオトイレは、おが屑を入れた便槽を、ヒーターで55度の温度に保つとともにスクリューでおが屑を攪拌(かくはん)することで、バクテリアなど微生物が、し尿を二酸化炭素と水に分解する構造になっている。水分は蒸発し、窒素やリンはおが屑とともに堆肥として利用できるようになる。大量の水洗用水を必要としないため防災用や介護用などのトイレとして注目されている製品だ。

開発の過程では数多くの特許や実用新案、意匠登録を取得している。同社がファブレスメーカーを目指しているのは、多くの特許に守られていることが大きな理由だが、それだけではない。本格的な工場を持てば設備投資や設備稼働にともなうリスクが発生するし、部品だけでなく完成品を含め在庫を持たざるを得ない。さらに人件費など固定費の負担もリスクとなる。これに対し外部企業に生産を委託すれば、無駄なコストの抑制が可能になるためだ。

ただ、信頼の置ける委託先が周囲になければ、ファブレスメーカーの実現は困難だ。同社の場合、機械メーカーや電機関連メーカー、板金、塗装など信頼できる取引先企業の大半が旭川周辺に立地している。意思疎通が素早くできるため、生産設備を持たず、アウトソーシングを主体にしても、同社が求める製品を世の中に送り出せることになる。ファブレスメーカーとして成功する秘訣は、まず周囲に信頼が置ける取引先を数多く持つことだろう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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