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2009年の記事

 

 

 

鷹羽産業

 

技術開発には産学官の連携が効果的

業種:立体印刷機等特殊印刷機メーカー
鷹羽産業

複雑化する世の中にあって、大企業であっても全てのことを自社だけでやり切ることは難しい。中小企業にとってはなおさらだ。「3人寄れば文殊の知恵」という諺があるが、問題を解決するためには様々な分野の人達と手を結び、知恵を持ち寄り、一つのテーマに取り組むのが一番だ。とりわけ最先端の技術開発は、産学官などあらゆるセクターが連携するのは最も効率的だと考えられる。

鷹羽産業(大阪市住吉区)は、得意な立体印刷機の技術を活用した微小電気機械システム(MEMS=マイクロマシン)を開発中だ。しかし1社だけではとても困難なプロジェクト。兵庫県立大学とMEMSの製造販売を手掛ける株式会社ナノクリエート(兵庫県姫路市)とともにコンソーシアムを結成、2007年8月に経産省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択された。

同社の立体印刷機は、1工程で立体面に印刷できるマシンで独自の技術により開発したものだ。この印刷機の能力に注目したのが、微細加工技術の第一人者で兵庫県立大の服部正教授だった。服部教授から話が持ち込まれた時、阪本行社長は「20年前から立体面にマイクロレベルの印刷ができた。しかしMEMSに利用できるとは考えもしなかった。井の中の蛙とはよくいったものだ」と振り返る。

鷹羽産業は特殊印刷機メーカーとして創業、ゴムロールを利用した印刷機を開発した。ゴムを用いているため、凹凸面や球体面でもムラなく印刷できるなどの特徴がある。しかも15マイクロメートルという微細印刷も出来るというマシン。このマイクロ印刷機に着目した服部教授が、MEMSに応用することで、微細なデバイスを作れないかと考えたわけだ。このプロジェクトが実現すれば同社にとって、MEMSという先端分野の全く新しい戦略商品を持つことができる。

リソグラフィーを用いたマイクロマシンを得意とするナノクリエートと、兵庫県立大学の技術、経産省の助成が相いまって、開発が急ピッチで進んでいる。そう遠くない時期に傾斜センサーが生まれると見られている。産学官によるコラボレーションが上手く機能している好例である。とりわけ中小企業にとって開発資金の捻出は頭が痛い問題だが阪本社長は「研究開発が順調に進んでいるのも、経産省の支援があってこそだし、大学の基盤技術も必要不可欠」と感謝を忘れない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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