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(株)テクノロジー・イノベーション

■「ベンチャー間の事業譲渡で、活性化のロールモデル目指す」

業種:センサーユニット開発
(株)テクノロジー・イノベーション


ベンチャー企業の出口戦略には、IPO(株式公開)のほか、他企業への売却や事業譲渡がある。これらがいずれも活発に行われているベンチャー先進国、米国に対し、日本はIPO以外の出口が少ない、狭いといわれてきたが、ここへきて売却、譲渡の事例も散見されるようになってきた。その一つとして、センサーユニット開発のテクノロジー・イノベーション(長野県塩尻市、矢吹尚秀代表取締役)が挙げられ、今年6月の同社発足に至る経緯には、これまでの日本にはなかった新しさも感じられる。

同社は、大手電機メーカー出身の吉川久男氏が2年余り前に設立したベンチャー企業、サイミックス(長野県茅野市)の半導体・MEMS(微小電気機械システム)事業を、半導体商社ベンチャーのパルテック(横浜市、矢吹尚秀社長)が譲り受け、パルテック全額出資会社として立ち上がった。新会社は半導体やMEMS関連の技術・ノウハウを駆使して、人感センサーなど最新のセンサーユニットを開発・製品化する。同事業はサイミックスの2本柱の一つだったもので、サイミックスは事業譲渡後、もう一つの柱の、振動や熱、光など身の回りのわずかなエネルギーを発電につなげる「環境発電」事業に傾注している。

サイミックスとパルテックが出会ったのは今年3月のこと。取引先や人材の紹介、資金提供などを求めるベンチャー企業の事業説明会で、サイミックスの吉川社長が自社事業を説明したのを、パルテックの創業者で現在会長職にある高橋忠仁氏が聞いた。「これは面白い」と直感した高橋会長は、すぐにパルテック社内に検討チームを作り、サイミックスの事業に関与することを決めた。その後、吉川社長と交渉を続け、出会いから、わずか3カ月間で新会社が立ち上がる。

「サイミックスのシーズを大きく伸ばしたい」(高橋パルテック会長)との強い思いが短期間での事業譲渡を実現させた。高橋会長は自らベンチャー企業を経営する傍ら、ベンチャー支援機構、MINERVA(横浜市)の理事長を務めるなど、日本のベンチャー振興に尽力している。そうした立ち位置からして、ベンチャー同士でスピーディーな意思決定を下し、ベンチャー活性化につながるロールモデルを示したい、との意図もあったようだ。

「屋久島の森では、倒れた古木を礎に新たな世代の木が育つ"倒木更新"が繰り返されており、倒木は、新たな世代にとっての大きなチャンス。僕らの産業も同じ状況にある」。鹿児島県屋久島出身の高橋会長は故郷を引き合いに、立ち行かなくなった電機・半導体大手が相次いでいる業界事情を説明。立ち上げたテクノロジー・イノベーションで、倒木更新の有言実行も目指している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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