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元気な企業(最新)

2007年の記事

 

 

 

 

 

株式会社椿き家

 

■安全にこだわり続けた豆腐作り

業種:豆腐メーカー
株式会社椿き家


いまや食品業界にとって「食の安全」は、いつのどの時期よりも重要なキーワードとなっている。これを軽んじた食品企業が消費者の厳しい不信・不買を前に、食品市場から退場を迫られたケースは少なくない。そうした中、広島県三原市に、食の安全にこだわり続けている豆腐メーカーがある。株式会社椿き家(同市本郷町南方、折笠廣司社長)がその企業だ。

1986年創業の同社のこだわりとはなにか。それは、豆腐を大豆と水とにがりの3点だけで製造してきている点だ。普通、これら3原料のほかに、食感や味、品質を安定させるため、品質改良剤などの添加物が入れられることが多い。添加物によって、作りやすくなり、大量生産が容易になる。だが、折笠社長は「3つの原料以外は使わない」徹底した無添加を企業信念として貫いている。

折笠さんの無添加経営は、自身の苦しい体験がきっかけとなっている。北海道の農家生まれ。5歳の時に農薬で胃潰瘍を患い、20歳ごろまで病気と闘うつらく苦い経験を味わった。この苦労の底から「食の安全」は自身のテーマとなり、22歳の時、ジャガイモやタマネギなどの無農薬野菜の生産に挑んでいく。やがて事業として軌道に乗ったが、「加工食品で毎日、一番食べられているものを『最も安全な食品にして提供したい』との思いが募ってきた」。まさにそのとき、「河原正希知先生(明星学園=三鷹市)が無添加で豆腐を作る特許を取ったことを知り、共同で安全な豆腐の製品化に取り組み」、実用化に成功、事業の拡大に伴って、現在、従業員男女合せ50名にまでなった。

食の安全、いまや、業界に浸透しているかに見える。しかし、折笠社長の評価は厳しい。クレームがつかず、腐らず、衛生管理がしっかりしていれば良い、という流れが、むしろ添加物が増えてしまう恐れがあるためだ。椿き家の信念を広めるため、豆腐以外のおからや豆乳も同社は無添加方針を貫いている。反響は大きい。大学や病院、地域などから注文が増えてきている。東京・虎ノ門にも「奉仕処」(営業所)を開いた。儲けより安全、この同社の信念への支持は、同社のホームページへのアクセス数の増加ばかりでなく、全国にじわじわと椿き家ネットワークとして広がっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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