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2012年の記事

 

 

 

(株)ユニオン産業

■「環境樹脂で安全・安心な生活を」

業種:植物廃材を原料にした環境樹脂の開発製造
(株)ユニオン産業


(株)ユニオン産業(神奈川県川崎市:森川真彦社長)は昭和45年の創業以来、プラスチックの自動車用アクセサリーや家庭用品、ゴルフティーなどの製造で成長してきた。今から15年前、ノベルティなどの自社製品を売り込みにカナダを訪れた際に、現地の見本市でトウモロコシ由来の生分解性プラスチックに出会う。そのころ、自社の独自製品を模索していた森川社長は「これだ!」と直感したという。

日本に帰ると、早速製品化に取り組み、ゴルフティーなど自社製品の材料置き換えを進めていった。しかし、当時は環境問題に対する意識が十分に浸透しておらず、また、生分解性プラスチックは高価で、劣化しやすく在庫が保たない、強度も従来のプラスチック製品に比べ劣るという弱点も災いし、普及までに至らなかった。

だが、森川社長はあきらめない。環境にやさしいプラスチック製品の提案を続け、平成15年には、竹、麦、コーヒー殻など植物廃材を原料にした環境樹脂「UNI−PELE(ユニペレ)」の開発に着手した。原料に竹廃材を用いた樹脂には抗菌作用があることが公的機関の分析により判明。また、コーヒー殻を用いたものには抗菌作用に加え消臭効果も確認した。麦皮廃材を使用したものは薄肉加工に優れるという特性を持つ。これらの素材を活用し、大学や企業などとの積極的な連携により、多彩な製品化を実現していった。

慶応義塾大学と共同開発した鮮度保持シート「シャキっとシート」は、野菜や果物などの腐敗原因の一つであるエチレンガスの発生を抑制。パートナー企業との解放特許使用のライセンス契約により開発した梱包材「ワンタッチトレーパック」は、プリント基板や回路ユニットの保管・輸送用や精密機器、ガラス製品、貴金属などの輸送用として広く普及している。

ユニペレのエコ・抗菌という特性を活かして、専修大学の学生とのコラボにより乳幼児用の食器を、また、母親たちの提案からは弁当箱を製品化していった。プラスチック成形加工業としての実績と歴史があるため、製品開発を金型づくりから一貫してできることが同社の大きな強みである。ユニペレが川崎市の「川崎ものづくりブランド」に認定されたほか、日本有機資源協会(JORA)のバイオマスマークにも承認されるなど、「環境樹脂」の地位を確立。15年前にひらめいた森川社長の直感は着実に結実しつつある。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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