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2006年の記事

 

 

 

 

 

(株)宇佐楽器店

 

■地方から全国へ!和楽器レンタルで新境地を拓く

業種:和楽器レンタル
(株)宇佐楽器店

数年ほど前、九州の小さな楽器店が和楽器のレンタル事業を立ち上げた。中学校や高校を対象に、琴や三味線を取り揃えて賃貸する新商法だ。伝統音楽を奨励する文部科学省の新教育指導要領が契機となって、和楽器演奏を音楽授業に取り入れる学校が増えた。その評判が口コミで広がって全国各地の学校へと普及し、教育分野で異例のビジネススタイルを確立しつつある。

和楽器のレンタルを事業化したのは、大分県の地方都市で楽器や音楽ソフトを販売する(株)宇佐楽器店(大分県宇佐市、佐々木英雄社長)。1967年創業以来の楽器屋さんだが、小都市での業容拡大には限界があった。2000年頃に中学、高校で和楽器の音楽授業が取り入れられることを知り、これをビジネスチャンスと捉えて、和楽器のレンタル事業に乗り出した。当初は学校への営業方法も分からず悪戦苦闘が続いたそうだが、02年度から中学校、03年度から高校での和楽器使用の授業が始まり、状況は順風に変わった。九州地域でレンタル楽器を契約する学校は80校に及び、その勢いは関東、関西の大都市部を中心に全国各地に広がり、いまでは「早い時期に400校まで契約校を増やしたい」との目標を掲げるほどだ。

地味ながら人気化しているのは、メンテナンスの行き届いた和楽器が安い費用でいつでも利用できるというレンタルメリットだけではない。和楽器演奏の専門家が音楽担当の先生方に対して奏法の講習会を開いたり、生徒へのカリキュラムの提案などバックアップ体制を整えていることも一因。利用する学校は年間4〜8時間の授業が多いが、和楽器にまったく未経験でも短期間に『さくら』『荒城の月』合奏くらいまで弾けるようになるそうだ。

一村一品で知られる大分県。その創造性を発揮した新商法でもあるが、「教育分野の新たな状況を捉えて、攻めに転じたことが奏功した」と述懐する佐々木社長。新事業の全国展開が軌道に乗るにつれ、同社経営も急拡大し始めた。これも立派な“第2創業”のスタイルだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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