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2011年の記事

 

 

 

米山工業株式会社

■「難所の足場設置にチャレンジ」

業種:ラックレール移動吊足場製造
米山工業株式会社

愛媛県はミカンなどかんきつ類の栽培が盛んだ。だがそのかんきつ類を栽培する土地はほとんどが急斜面。このため農家にとっては作業上、大きな負担となり、「何とかならないものか、便利な方法はないものか」という悩みが以前から多かった。

これに着目したのが県内でも有数の鉄工業者である米山工業(松山市)。「お客様に喜ばれるものをつくりたい」(米山徹朗相談役)―と同社はまず農家の声にじっくり耳を傾けた。その結果出来上がったのが急斜地用レール式運搬機「モノラック」。同レール式運搬機としては、国内トップシェアへと成長することになる第1号機だ。

多くの農家に受け入れられただけでなく、このモノラックの基盤技術がその後、建設現場を中心に大きく広がりを見せることになる。建設現場の要望に応え、橋やビルなどのラックレール移動吊足場「ラック足場」や「ラックリフター」など製品ラインナップを次々に増やしていった。「基盤技術がしっかりしていればいろんな分野で市場を確立し固定客を獲得できる」(同)と同社は確信する。

この言葉を裏書きするように国内外の空港や橋、球場、高層ビル、遊園地、競馬場など大規模な現場で矢継ぎ早に採用された。その秘密は需要に合った技術、およびコスト面での優位性にある。「ラック足場」の原理は、2本のレールに作業足場が前後左右に旋回して動き、レール幅なども自由に変えられる。100種類以上のパーツをユニット化し現場でうまく形状をつなぐと、足場設置が容易にできる。従来の足場に比べ工期の大幅短縮が実現した。このため工事関係者は喜んで採用した。

点検や修理のため橋の下に設置した足場が橋脚を超える場合も、付け替えることなく移動できるため道路規制をしなくても済むという便利さも備える。「農業用モノラックから建設用足場ラックに発展」―しっかりした基盤技術を背景に顧客の要望に一つひとつ、ていねいに応えていった同社の経営姿勢に学ぶ点は多い。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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