懲戒解雇した社員の再就職先からの問合せ (2004年11月号より抜粋)  
     
 

懲戒解雇した社員の再就職先から離職理由を聞かれたらどう答えるか

 

Q

セクハラで懲戒解雇した社員が、他社の中途採用試験を受けたらしく、その会社から「貴社を退職した理由は何ですか」と問い合わせがきました。デリケートな事柄で、プライバシーを侵すおそれもあり、正直に答えてよいものか迷っています。どのような対応をすればよいでしょうか?

 

 
 

A

当人の意向を確かめる

中途採用する場合、前の会社の勤務状況は重要な参考材料となります。労基法第22条では、「退職時等の証明」という規定を設けています。従業員が以前勤めていた会社に対し、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由について証明書を請求した場合、会社は「遅滞なく」これを交付しなければいけません。

本人が、前の会社の勤務状況に誇りを持っていれば、再就職の条件を有利にするために、積極的に前歴を活用するでしょう。

しかし、本人がすべての情報を開示したくないというケースもあるはずです。このため、同条第3項では、「労働者の請求しない事項を記入してはならない」と注意を促しています。

本人が、退職の事実だけを記載し、その理由には触れないで欲しいといったら、その希望に沿う形で証明書を作成しないといけません。

同条第4項では、「あらかじめ第三者と図り、国籍、信条、社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をしてはならない」と規定しています。

しかし、「事前の申し合わせに基づかない具体的照会に対して回答することは、本条の禁止するところではない」(厚生労働省労働基準局編「労働基準法」)と解されています。労働組合運動等に関する情報であっても、問い合わせがあれば答えても構わないのです。その比較からいえば、退職の事由について、答えていけないという理屈にはなりません。ただし、本人が退職証明書に「退職の事由を記入しないでください」といってきたのに、それに反して情報を流すのは、信義にもとる行為だといえるでしょう。

それでは、本人が退職証明書を請求してこなかった場合、つまり、退職事由を開示したいのか、秘匿したいのか、意思がはっきりしない場合はどうでしょうか。

何もいってこなくても、セクハラの事実は伏せておいて欲しいだろうと一般的には考えられます。だからといって、気を利かせて、「何の問題もない」と答えるのも、正しい選択とはいえません。相手の会社に対しても社会的責任を負っているといえるからです。

お勧めするのは、直接答えるのではなく、相手の会社に対し、本人に退職証明書を提出させるよう勧めることです。本人が貴社に来れば、その真意がはっきりします。退職事由を証明書に記載しなければ、当然、相手先会社は不審に思うでしょう。

本人にその理由を問いただし、仮にウソを答えたとします。その際、相手先会社が「後から事実が明らかになれば、経歴詐称で懲戒解雇になりますよ」と念を押せば、本人もしかるべき行動を取ると思います。

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