1年単位変形労働時間制の休日の振替 (2005年1月号より抜粋)  
     
 

1年単位変形制で休日の振替はどの範囲まで許されるでしょうか?

 

Q

当社では、年末年始やゴールデンウイークの大型休暇に備えるため、1年単位変形労働時間制を導入しています。先日、1年変形制を取る場合には、休日の振り替えに制限があると聞いて慌てています。どの程度の範囲なら認められるのでしょうか。

 

 
 

A

連続労働6日以内が原則

1年単位変形労働時間制は、本来、季節的な繁閑の大きな業種での利用を想定しています。代表的なのはデパートで、中元・歳暮の時季とそれ以外では、仕事量に大きな差があります。

この場合、忙しい時季には1日の所定労働時間を長く、そうでない時季は短く設定して、全体として週平均40時間をクリアできるように工夫します。

しかし、業務量にそれほど明確な増減のみられない業種でも、大型休暇に備えるため1年単位変形労働時間制を取るケースが少なくありません。

1日の所定労働時間は年間を通して固定し、労働日数の割り振りにメリハリをつけるわけです。このような事業場は、形態的には1年変形制に分類されていても、実態は一般の事業場に近いといえるでしょう。

1年のように長期的スパンの仕事の増減でなく、突発的な受注増等があった場合、一般には、残業を増やしたり、休日を振り替えたりする手法が取られます。

ご指摘のように1年変形制の場合、それ以外の事業場よりも振替には厳しい制限が課されています。

なぜなら、「1年単位の変形労働時間制は、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することがないことを前提とした制度である」(平11・3・31基発第168号)ので、通常の業務の繁閑等を理由とした振替を無制限で認めるべきでないからです。

しかし、一律禁止するのも現実的ではありません。現在は、原則として、次の条件を満たす場合に限って、休日の振替が認められています。

(1)就業規則において休日の振替を必要とする場合に休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えるものであること。この場合、就業規則等において、できる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましいこと。

(2)対象期間(特定期間を除く)においては連続労働日数が6日以内となること。

これは、1年単位変形労働時間制を取る事業場で所定労働日を設定する場合、「連続して労働させる日数の限度は6日とする」(労基法施行規則第12条の4第5項)と定められているのに対応しています。ただし、労使協定で「特定期間」と定めた期間については、連続労働日数を12日(1週間に1日の休日を確保できる範囲)に延ばすことができます。そのため、振替休日の規制も次のとおり緩和されます。

(3)特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内であること。

 

 
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