持家取得者が転勤を拒否して退職した場合 (2007年1月号より抜粋)  
     
 

持家取得者が転勤を拒否して退職を選択した場合は会社都合か?

 

Q

地方営業所の経営が思わしくなく、余剰となった従業員に対し、本社への転勤を発令しました。しかし、本人は「住宅を取得済みで、いまさら転居したくない」と消極的で、最終的に退職願を持ってきました。この場合、雇用保険法上の扱いは、会社都合・自己都合退職のどちらになるのでしょうか。

 

 
 

A

通勤不能なら特定受給資格者(会社都合)に該当

年齢・勤続年数等が同じでも、離職理由によって所定給付日数が異なったり、失業手当の給付開始が遅れたりすることがあります。「自己都合・会社都合のどちらに該当するか」というご質問ですが、正確にいえば、「特定受給資格者に該当するか」「給付制限を受けるか」、この2点の扱いをたずねていらっしゃるのだと思います。

従業員の離職が、倒産・解雇等の理由に基づくときは、特定受給資格者となり、所定給付日数の計算上、有利に扱われます。たとえば、45歳以上60歳未満で勤続年数20年以上の被保険者の場合、一般の離職なら所定給付日数150日ですが、特定受給資格者と認定されると330日になります。

解雇等の理由のなかには、「勤務場所が特定されていた場合に遠隔地(概ね往復4時間以上)に転勤を命じられ、これに応じることができないため離職した場合」が挙げられています。

従業員が、「自己の責めに帰すべき重大な理由、又は正当な理由なく自己都合によって退職した場合」には、通常、3ヵ月の給付制限が課せられます。しかし、形式上、自ら退職願を提出したケースでも、「正当な理由がある」と認められれば給付制限の対象になりません。「正当な理由」のなかには、「自己の意思に反して住所又は居所の変更を余儀なくされたことにより、通勤不可能又は困難となったため退職した場合」が挙げられています。

お尋ねの方がこれら要件に該当すれば、特定受給資格者となり、給付制限を受けず、かつ所定給付日数も一般の離職者より長めに決定されます。

▲画面トップ

 

 
  労務相談と判例> 退職、解雇の相談

Copyright (C) 2007 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所