教育訓練給付の改正(平成19年10月) (2007年10月号より抜粋)  
     
 

雇用保険法が改正され自己啓発の補助額はどれだけ減らされたのですか?

 

Q

当社では、雇用保険の教育訓練給付を使った自己啓発を推奨しています。公的給付を使って能力開発ができるので重宝していましたが、法律が改正され、給付水準が引き下げられると聞きました。支給要件や金額が、どのように変わったのでしょうか。

 

 
 
A

受講費用の2割に統一

教育訓練給付は、雇用保険の被保険者または被保険者だった人(原則、資格喪失後1年以内、出産、病気等の理由があれば最大4年)が、厚生労働大臣指定の教育訓練を受講した場合、その費用の一部を助成する制度です。

平成10年に制度が創設されたときは、支給要件期間(被保険者だった期間)が5年以上あることを要件に、費用の8割!最大20万円を支給するという内容でした。さらに、平成13年には、上限額が30万円に引き上げられました。

会社が経費を使わずに、従業員の能力アップを図れますし、従業員側も、教育訓練給付を受けたからといって将来の失業給付が減るわけではありません。しかも、受給後5年が経過すれば、もう一度、申請が可能です。せっかく保険料を納めているのですから、有効に活用しようという会社が増えました。

しかし、その後、失業率が一挙に高まり、雇用保険財政が枯渇の危機に瀕したため、給付水準の引下げが始まりました。平成15年には、給付内容が次のように変わりました。

  1. 支給要件期間5年以上…費用の4割、20万円限度
  2. 同3年以上5年未満…費用の2割、10万円限度

そして今回の改正では、原則として、一律、「支給要件期間3年以上、費用の2割、10万円限度」に改定されました。ただし、当面の暫定措置として、「初回受給者については、支給要件期間1年以上」で受給を認めるという優遇措置を打ち出しました。こちらは、利用を検討してみる価値ありでしょう。

支給要件期間は「教育を開始した日」現在で、3年(1年)あるか否か判断します。施行は平成19年10月からで、「施行日以後に教育訓練を開始した者から適用する」(改正雇用保険法施行規則附則第6条)という扱いです。

このほか、事業主とは直接関係ありませんが、不正受給の防止対策も強化されました。こちらは、平成19年4月23日から既に施行されています。

従来、偽りその他不正により教育訓練給付を受けた場合、事業主、職業紹介事業者等も本人と連帯して不正受給金等を返還する義務が課せられていました(雇用保険法第10条の4)。これに、新たに教育訓練実施者が加えられました。もちろん、連帯責任が生じるのは、事業主等に不正がある場合に限られます。

このほか、必要な報告、文書の提出、出頭を命じる対象にも、教育訓練実施者を追加し、取締りの徹底を図っています。

 

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