在職老齢年金と傷病手当金の調整 (2009年9月号より抜粋)  
     
 

在職老齢年金の受給者が病気で傷病手当金をもらったら年金は減額されるか

 

Q

在職老齢年金を受けている従業員がいますが、病気で入院し、健康保険の傷病手当金の申請をする予定です。この場合、在職老齢年金をそのままもらえるのでしょうか。支給停止、または減額調整されるようなことがあるのでしょうか。

 

 
 
A

3日分の賃金は休業補償扱いとなる

傷病手当金と老齢厚生年金の調整規定は、健康保険法の中に設けられています(第108条第4項)。年金優先で、傷病病手当金が支給停止となります(傷病手当金が多ければ、差額支給)。ただし、これは退職し、資格喪失後の継続給付の規定(健保法第104条)により傷病手当金を受ける人に限ります。

在職中は、傷病手当金と年金の調整はなく、両方を満額受けられます。高齢者は、会社からもらう賃金と在職老齢年金の両方で生活を維持しています。その賃金が減った分を傷病手当金で一部補填するだけで、年金は関係がありません。病気で休んでいる間も標準報酬月額は元のままですから、在職老齢の仕組みによる年金額も原則として同じです。

しかし、高齢者が同時に雇用保険の高年齢雇用継続給付をもらっているときは、話が違ってきます。「老齢厚生年金の受給権者が(厚生年金の)被保険者である日が属する月について、雇用継続給付を受けることができるときは、年金を減額調整する」規定が設けられています'(厚年法附則第11条の6)。標準報酬月額が60歳定年時賃金(みなし賃金月額)の61%未満のときは、標準報酬月額の6%をカットします。61%以上75%未満のときは、標準報酬月額から「6%から逓減する年金調整率」を乗じて得た額をカットします。

高齢者が病気で1ヵ月丸まる賃金収入がなければ、雇用継続給付も出ません。「雇用継続給付を受けることができるとき」に該当しなくなるので、原則6%カットの減額規定も適用されなくなります。ですから、在職老齢年金の額も変わります。

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