2010年改正労働基準法の適用猶予 (2010年5月号より抜粋)  
     
 

当社は中小企業なので改正労働基準法による直接の影響はない?

 

Q

当社は、従業員30人規模の中小企業です。昨年後半から、改正労基法関係のセミナーが目白押しでした。しかし、当社は中小企業なので、5割の割増賃金の適用は猶予されます。時間単位年休に関する協定締結も、当面見送るつもりです。当社の場合、実質的に法改正の影響はないといってよいのでしょうか。

 

 
 
A

36協定の特別条項には適用される

改正労基法は実務的な内容で、細部までキチンと理解するのは思いのほか大変です。しかし、項目としては、次の3点に絞られます。4月施行に合わせ、最終チェックを行いましょう。

  1. 特別条項発動時の割増賃金率引上げ(努力義務)

  2. 長時間労働時の割増賃金率引上げ(強制義務、ただし、中小企業は適用猶予)

  3. 時間単位の年次有給休暇付与(協定を締結するか否かは労使の自由)

1.は努力義務、2.は中小企業の場合、適用猶予、3.は締結するか否か自由ということですから、「中小企業に限っては、旧来の仕組みを改めなくても、法違反は生じない」と即断しがちです。しかし、実は1.の改正の中にも、強制適用の部分が含まれているのです。

特別条項(エスケープ条項)を発動する際、「割増賃金率は2割5分を超える率とする。かつ、時間外労働をできる限り短くする」という規定は努力義務です。しかし、「特別条項付の時間外・休日(36)協定を結ぶ際には、月45時間等の限度時間を超える場合の割増賃金率を定める」という部分は「努めるものとする」という文言がありません。

特別条項を付けない中小企業は、もちろん、関係ありません。しかし、「特別条項ありの場合、たとえ、割増率を2割5分増しのままで据え置く(努力義務は考慮しない)としても、その具体的な率を36協定中に明記しなければいけません。厚生労働省のQ&Aでは、「本規定の改正は中小企業にも適用されるため、特別条項付36協定を結ぶ際には割増賃金率の定めが必要となる」と解説しています。

Q&Aでは、「協定の締結時期と今回改正の適用」についても触れています。「改正法は、平成22年4月1日以降に協定を締結または更新した場合に適用される」と述べています。

ですから、たとえば、毎年6月に36協定を改正・更新する会社では、4月5月は旧協定のままで差し支えありません。前倒しで「限度時間を超える場合の割増賃金率」を記載し、労働基準監督署に届け出る必要はありません。いつもと同じ時期に改正手続きを実施し、届出をすれば足ります。

平成22年の3月中に、すでに平成22年度分の更新を済ませている会社も少なくありません。この場合、改正法の適用は次の更新時期からになります。ただし、Q&Aでは、「(前広の対応で)今回の改正に適合したものとすることはもとより望ましいものです」と注意書きを加えています。

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