雇用保険の基本手当と被扶養者 (2011年12月号より抜粋)  
     
 

高給の夫が失業したがパートの妻の被扶養者として申請したい

 

Q

フルタイムで働く女性パート従業員がいます。夫が失職したので、仕事がみつかるまで、当面、健康保険の被扶養者にしたいといっています。夫の男性はかなり高給を得ていたようですが、「一時的に収入がない」からといって、パートの妻の被扶養者になれるのでしょうか。

 

 
 
A

基本手当を収入に換算して被扶養者認定が行われる

健保の被扶養者は、被保険者により生計を維持されている一定範囲の親族が対象になります。被保険者が正社員かパートかは関係ありません。配偶者の場合、「生計維持の有無」のみを検討すれば足ります。生計維持の条件(同居のケース)は、基本的に、被扶養者になろうとする人の年収が130万円(60歳以上180万円)未満で、かつ、被保険者の年収の半分未満であることです。

注意が必要なのは、年間収入には賃金だけでなく、老齢年金や失業給付等も含まれる点です。夫が過去に高収入を得ていても、それとは関係なく、失業等の状況変化があったときは、現時点の見込みに基づき年収を推計します。

失業給付(基本手当)を受けるときは、手当の日額を360倍して年収換算します。基本手当の日額が5,000円、所定給付日数が90日の人がいたとします。この場合も、5,000円に360日を乗じて年収を計算します。90日を乗じるわけではありません。

5,000円×360日=180万円ですから、この方は被扶養者になれません。

ただし、90日分の基本手当を受給し終われば、新たな年収見込みは0円に変わります。ですから、その時点で、健保の被扶養者の申請が可能となります。

なんだか釈然としない方もいるかもしれません。しかし、基本手当を受け始めた段階では、90日後もまだ失業している(収入ゼロ)か、あるいは新しい仕事に就いて働いている(たとえば、1日当たりの収入1万円)か、予想がつきません。この場合、1日当たりの失業給付を基に年収を推算するというルールとなっているのです。

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