二次健康診断は有給にするべき? (2012年4月号より抜粋)  
     
 

生活習慣病予備軍に再検査を勧めたいが有給で休暇を付与すべきか?

 

Q

先日、定期健康診断を実施したところ、生活習慣病の疑いのある従業員が何人かいます。会社として、「再検査(二次健康診断)に行きなさい」と命令できるのでしょうか。受診を命令する場合、会社は有給で休暇を与える義務があるのでしょうか。

 

 
 
A

義務ではないが、ガイドラインでは賃金保障を推奨

労災保険法では、定期健診等で一定項目に異常の所見のあった労働者を対象として、二次健康診断給付(無料で健診受給)を支給しています。二次健康診断給付の請求者は、労働者本人です。

しかし、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平8・公示第1号)」では、「事業者は、健診結果に基づき、二次健康診断の対象となる労働者を把握し、受診を勧奨するとともに、結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当」と述べています。

最終的に再検査に行くか行かないかは従業員本人が決めますが、会社が「勧奨する」のは望ましいことです。

健診に要した時間の賃金の支払いについては、「労使協議して定めるべきものであるが、脳・心疾患のおそれのある労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、事業主が支払うことが望ましい」とされています(平13・12・30基発第233号)。

受診を「勧奨」するのですから、従業員の同意を得るため、「所定労働時間中に病院に行ってよい。賃金カットはしない」と説明するのがよろしいでしょう。

健診費用そのものは、前記のとおり、労災保険から給付されます。支給要件が細かに定められているので、受診を勧奨する従業員がその条件を満たすか否か、事前にキチンと確認し、必要な手続をサポートしてあげるべきでしょう。

二次健康診断等給付の対象となるのは、定期健診等で次の4項目すべて有所見とされた場合です。

  1. 血圧

  2. 血中脂質

  3. 血糖

  4. 腹囲またはBMI

ただし、1.から4.すべて有所見でなくても、産業医が必要と認めれば、その意見が優先されます。注意が必要なのは、既に脳・心疾患の症状を有する人については、給付の対象にならない点です。

血圧・血糖等が高くて、「生活習慣病予備軍」とみなされる人について、予防の見地から労災給付が支給されるものです。

給付を希望する労働者は、所定の請求書に事業主の証明を受けたうえで、定期健診等の結果を証明することができる書類を添付し、病院経由で都道府県労働局長に提出します。会社から、既に証明を済ませた請求書を労働者に手渡すのも、勧奨の一つの方法です。

二次健康診断等給付は、健診給付病院(都道府県労働局長の指定を受けた病院等)で受けることができます。指定を受けた病院は標札を掲げています(労災則第11条の3)が、事前にインターネット等で調べておくとよいでしょう。

 

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