定年退職者の受給期間の延長 (2013年1月号より抜粋)  
     
 

退職後に求職活動しないまま1年近くになるが受給期間延長が可能か?

 

Q

定年で再雇用を希望せず、退職を選択した高齢者がいます。本人は「しばらく悠々自適の生活をしたい」ということで、ハローワークで求職の手続をしていませんでした。まもなく1年が経過しますが、これから受給期間の延長手続を採れば、「手続の日から1年を限度として」基本手当を受け取れるのでしょうか。

 

 
 
A

2か月以内に申込みしないと受給期間延長はできない

基本手当の受給期間は、離職の日から起算して原則1年(所定給付日数が長い人は最長60日を加算)と定められています。しかし、次の条件に該当する高齢者は、受給期間の延長を申し出ることができます(雇用保険法第20条第2項)。

  1. 60歳以上の定年到達者

  2. 60歳以上の定年到達後の勤務延長・再雇用期間終了者

延長の申出は、離職の日の翌日から2ヵ月以内に行わなければなりません(雇用保険法施行規則第31条の3)。天災事変その他、やむを得ない事情があって申出をしなかったときは、その理由がやんだ日から7日以内に手続する必要があります。

「求職の申込みを希望しない期間」は、最長1年と定められています。つまり、延長の限度は「離職の日の翌日から起算して2年」となります。離職の日の翌日から50日後に申し出ても、延長の限度が「申出日から起算して2年(つまり、離職の翌日から2年と50日)」に延びるわけではありません。

延長の申出の時期は、「求職の申込みを希望しない期間」が開始する前です。お尋ねのように「離職日の翌日から今日まで、一切、求職活動をしていません。だから、受給期間もそれだけ延長してください」と後から申請しても、証文の出し遅れです。

本人の主観としては「自らの意思に基づく求職活動休止」であっても、表面に現れた形としては「求職申し込みの遅滞(本人の怠慢)」に該当します。今から求職の申込みをしても、原則1年の受給期間内でしか基本手当を受給できず、残りの権利は行使できません。

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