1日8時間超の事業場外みなし (2013年4月号より抜粋)  
     
 

みなし時間が1日8時間を超えると労使協定を結ぶ必要が生じるか?

 

Q

営業社員について、当社では「1日9時間働いたとみなす」というルールで処理してきました。労組から、「1日8時間を超えるときは、労使協定が必要なのではないか」という疑問が表明されました。協定の締結は、法律上の義務なのでしょうか。

 

 
 
A

労使協定の締結義務ではない届出義務が生じる

事業場外で働き、労働時間を算定し難いときは、事業場外労働みなし制の規定を適用します(労基法第38条の2)。事業場外労働みなし制には、3つのパターンがあります。

@所定労働時間働いたとみなす。
A業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
B労使協定で定めた時間労働したものとみなす。

貴社では、現在のところ、Aのパターンで処理していらっしゃるようです。AとBはいずれの選択も可能で、「労使協定の締結は法律上義務付けられていません」(労基法コンメンタール)。

ただし、解釈例規(昭63・1・1基発第1号)では、「突発的に生ずるものは別として・常態として行われている事業場外労働であって労働時間の算定が困難な場合には、できる限り労使協定を結ぶよう十分指導する」と述べています。営業社員が恒常的に外勤業務に従事している場合は、協定の締結をお勧めします。

協定の仕組みが設けられているのは、不当に短い「みなし時間」の適用を防ぐ趣旨です。対象業務について通常どの程度の時間が必要かは、職場の労使がよく分かっています。労使の話し合いを経ることにより、みなし時間が適切な水準に設定されます。

協定では、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」および「協定の有効期間」を定めます。協定で定める時間が法定労働時間を超える場合、労働基準監督署への届出が必要になります(労働基準法施行規則第24の2第3項)。

「1日8時間を超えたら」協定の締結が必要になるのではなく、協定の届出が必要になるという意味です。

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