定年退職と社会保険の同日得喪 (2013年6月号より抜粋)  
     
 

61歳まで年金を受けられない高齢再雇用者でも資格得喪が可能か?

 

Q

定年退職後、嘱託再雇用する場合、社会保険の資格得喪の手続を行っています。社会保険の担当者から、「平成25年4月以降60歳に達した人は年金がないけれど、資格得喪の手続をする必要があるのか。そもそも資格得喪が認められるのか」という疑問が出されました。平成25年3月以前と、何が違うのでしょうか。

 

 
 
A

従来と同じ取扱いでよい

社会保険の資格は、社内身分の切り替えがあっても、継続するのが原則です。たとえば、パートがいったん退職し、正社員として再雇用されても、被保険者資格の同日得喪手続は必要ありません。

しかし、定年退職者等が嘱託再雇用される場合に限って、同日得喪が認められています。嘱託再雇用時には、賃金が大幅にダウンするのが一般的です。

しかし、「固定的賃金の変動」があっても、随時変更の手続により、標準報酬月額が改定されるのは、それから4ヵ月後になります。

在職老齢年金の仕組みでは、総報酬月額相当額(標準報酬月額+過去1年の標準賞与額の12分の1)と賃金額を基準として、年金を減額します。つまり、標準報酬月額が下がらないと、年金の停止額は大きくなります。

この不合理を解消するために、高年齢者の資格得喪が認められているのです。しかし、平成25年4月以降、60歳に達する「男性」は、61歳になるまで年金がありません。そこで、「資格得喪の対象になるのか」という疑問が生じたわけです。

この問題に関しては、通達が出され、得喪の対象者の範囲が改定されました(平25・1・25保保発0125第1号)。「(旧)特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、再雇用される者」から「(新)60歳以上の者で、再雇用されるもの」に改められました。

年金がなくても、標準報酬月額が下がれば保険料が安くなるというメリットを享受できるので、60歳以上で再雇用という条件を満たせば、引き続き得喪が認められます。

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