60歳以上の国民年金 (2013年9月号より抜粋)  
     
 

嘱託再雇用者が短時間勤務を選択しても国民年金の手続は不要?

 

Q

まもなく定年を迎える従業員(男性)が、フルタイムと短時間勤務とどちらを選択するか迷っています。60歳到達後に厚生年金の被保険者資格を喪失すれば、改めて国民年金に加入する必要はないという説明で、間違いなかったでしょうか。

 

 
 
A

配偶者の資格変更に注意

短時間勤務を選択することにより、厚生年金の被保険者でなくなれば、同時に国民年金の第2号被保険者資格も喪失します。この人が「20歳以上60歳未満」であれば、改めて国民年金の第1号被保険者となります(強制義務)。しかし、60歳以上であれば、被保険者となる必要はなく、保険料を納める義務も負いません。

今年(平成25年)60歳に達する男性は、61歳まで年金を受給できません。61歳になって年金を受けるようになっても、厚生年金の被保険者でなければ、在職老齢年金の適用はありません。賃金は低くなりますが、年金保険料と在職老齢年金の双方を考慮すると、短時間勤務にもそれなりのメリットがあります。

しかし、奥さんの年金保険料の問題も考慮する必要があります。本人が第2号被保険者資格を保持している間、20歳以上60歳未満の奥さんは第3号被保険者として取り扱われます。

本人が厚生年金の被保険者資格を喪失する際、奥さんが第3号被保険者であれば、第1号被保険者に資格を切り替える必要があります(保険料の納付義務も発生)。

ちなみに、今年の6月に「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が公布されました。法改正の目的の1つとして、「第3号被保険者の記録不整合問題」への対応が挙げられています。

サラリーマンの夫が退職する際、奥さんの資格切替が適正になされていなかった場合、年金額を再計算すると同時に、10年間の特例保険料納付を認める等の措置が講じられました。法改正が必要なほど「うっかり」するケースも多いということで、ご本人にもよく説明してあげてください。

 

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