中小企業主と労災保険 (2015年10月号より抜粋)  
     
 

中小企業の事業主にも通勤災害が補償されるか?

 

Q

当社の社長については労災保険の特別加入の手続を採っています。過日、マイカー通勤の途上で、危うく事故にあいかけたそうです。社長から「特別加入の対象者でも、通勤災害で補償を受けられるのだろう」と質問されて、心配になりました。特別加入の場合、業務上災害に限られるといった制限があるのでしょうか。

 

 
 
A

一部の一人親方には補償が無い

事業主は労働者に該当しないので、原則的には労災保険制度の対象になりません。

しかし、中小事業主の中には、業務の実態からみて、労働者に準じて保護するのがふさわしいような働き方をする人が少なくありません。このため、労災保険では、特別加入の制度を設けています。

対象となるのは、常時300人(金融・保険・小売業等は50人、卸売・サービス業は100人)以下の労働者を使用する事業主で、労働保険事務組合に事務処理を委託している者です(労災保険法第33条1号)。

中小事業主等が「労災保険による業務災害および通勤災害に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき申請をし、政府の承認を受けた」場合、労災保険が成立している事業に使用される労働者とみなして、業務災害・通勤災害に関する規定が適用されます(労災保険法34条)。

通勤災害は対象から除外されていないので、一般の労働者と同様に保護の対象となります。ただし、次の場合は通勤途上であっても業務上災害と認定されます。

  1. 事業主提供の通勤専用交通機関の利用中

  2. 突発事故(台風、火災等)による緊急出勤

中中小事業主に関しては心配ありませんが、一人親方等の場合には例外があります。次の者については、補償の範囲が業務災害に限定されています(労災則第46条の22の2)。

  • 自動車による旅客運送業

  • 漁船による水産物採捕事業

  • 特定農作業

  • 家内労働者

▲画面トップ

 
  労務相談と判例> 労災、通勤災害の相談

Copyright (C) 2016 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所