労災保険の不服申立制度 (2016年3月号より抜粋)  
     
 

ゴルフ接待中の事故が労災と認められないときは泣き寝入り?

 

Q

ゴルフ接待中の事故は、なかなか業務上の災害と認められないと聞きます。しかし、実態としては、営業手法の一環として接待があるのも事実です。仮に、労働基準監督署で「労災と認めない」といわれた場合、どうすることもできないのでしょうか。

 

 
 
A

不服申し立て制度がある

まず、ゴルフの話を先に解説します。一般的には、「ゴルフ競技を設営し、世話役として職務を行う」ようなケースを除くと、業務遂行性は認められないようです。関係者数人が懇親目的でプレイするのは、お酒を飲みに行くのと同じような扱いです。

それはともかく、労基署に対して労災保険の請求をしても、不支給決定となるケースが往々にしてあります。「保険給付に関する決定に不服がある」場合の「不服申立て及び訴訟」の手続は、労災保険法第5章に定めがあります。

ちなみに、第5章に関しては、平成28年4月1日から大改正が実施されました。平成28年3月31日までは、基本的に次の3ステップを採ります。

  1. 不満がある人は、60日以内に都道府県労働局・労働者災害補償保険審査官に審査請求

  2. 審査官の決定に不満がある人は、60日以内に厚労省・労働保険審査会に再審査請求

  3. 裁決に不満がある人は、裁判所に処分取消しの訴え

平成28年3月31日までの規定では、「取消しの訴えは、労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起できない」とされていました(労災保険法第40条)。

改正後は、次のような流れとなります。

  1. 不満がある人は、3ヵ月以内に労働者災害補償保険審査官に審査請求

  2. 審査官の決定に不満がある人は、2ヵ月以内に労働保険審査会に再審査請求するか、裁判所に取消しの訴えを提起するか選択します。

労災保険法第40条は、「審査官の決定を得た後でなければ、提起できない」に改められました(不服申立て前置の部分緩和)。

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