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(株)Sassor

■「変化を好機に、省エネ・節電ベンチャーが疾走」

業種:節電サービス
(株)Sassor

あの3・11を境に日本のエネルギー事情は様変わりした。省エネ、節電が大命題となり、LED照明が急速に普及するなど社会の隅々まで大きな変化が生じている。増大する省エネ・節電ニーズを追い風に、節電サービスで実績を積み上げているのがSassor(サッソー、東京、石橋秀一社長)だ。飲食店などの消費電力を「見える化」し節電につなげる事業を大きく伸ばしている。来春の電力小売り全面自由化や、スマートメーターの普及加速をにらんだ新規事業も準備中で、変化を好機と捉えて新市場を開拓する“ベンチャーの王道”を突き進む。

同社は大学院の博士課程でユビキタス(いつでも、どこでも、つながって活用できるコンピューター・ネットワーク環境)を研究していた石橋社長が平成22年、ユビキタス関連システムの事業化を目的に、友人とともに創業した。石橋社長には研究者の道を歩む選択肢もあったが「論文を書くだけでは、(研究開発したシステムを)使ってもらいたい人に使ってもらえない」との思いから、起業に踏み切る。米国シリコンバレーなどで、ベンチャーが活気づくタイミングであったのも背中を押した。

創業の翌年、東日本大震災が発生し、電力ひっ迫が大問題となる。たまたま、ユビキタスシステムの一つとして震災前から開発に取り組んでいた、電気製品の機器ごとの消費電力を「見える化」する仕組みを、事業者向け電力管理サービスとして商品化する。見える化によって、無駄な電力使用を特定して節電を促すもので、時宜を得て、スープ専門店、居酒屋、カフェなど外食チェーンを中心にユーザーの裾野は急拡大した。

平成28年春、電力の小売りが全面自由化され、家庭・小規模オフィス・商店など「低圧」市場が開放される。次世代電力量計の「スマートメーター」は、2023年度に8200万顧客に行き渡らすゴールに向けて、これから本格普及期に差し掛かる。同社では、そうした潮流を捉え「電力データをさまざまな用途に活用するための電力分析エンジンを開発している。電力小売事業者、ハウスメーカーなどとも連携し、新サービスを立ち上げたい」(石橋社長)と、新市場の開拓に意欲をみせる。

IoT(モノのインターネット)や人工知能といった領域に目を配り、ヘルスケアなど電力・エネルギーとは異なる分野での新規事業の立ち上げも検討している。そんなサッソーの社名は、創業者の石橋社長と友人の出身地、千葉県銚子市にちなみ「刺身」と「醤油(ソイソース)」を組み合わせたとのこと。刺身×醤油の和食パワーで、時代の波頭を颯爽(さっそう)と疾走している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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