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(株)トマトInc

■「脱毛機のユーザーからメーカーへ転身し、飛躍を遂げる」

業種:脱毛器の開発製造
(株)トマトInc

「アップルに触発されて社名を決めた」と話すのはトマトInc(名古屋市)社長の熊谷正さん。ならば、米アップルと同様のIT関連企業かと思えば、さにあらず。ITならぬIPL関連企業と呼べるのが同社だ。聞き慣れないIPLとは、Intense・Pulse・Light(強烈なパルス光)の略で、トマトIncは、このIPLを用いた脱毛機を製造・販売している。「エステサロンの経営からメーカーへと転身した」(熊谷社長)という同社は、独創的な自社製品を開発し、また、ユーザー(エステサロン)を熟知する強みを生かして、あっという間に国内有数の脱毛機メーカーに成長、今日に至る。

平成7年(1995年)に創業。エステサロンを運営し、次いで脱毛機などの輸入販売に取り組んだトマトIncは、平成14年(2002年)にメーカーへと大きく舵を切る。当時の脱毛機は、輸入、国産機を問わず、トラブルが多くて、修理・メンテナンスが容易でなく、消耗品の費用負担が重いなど、アキレス腱を少なからず抱えていた。それらを肌で感じ取った熊谷社長は「よし、それなら安心して使える機器をつくってしまおう」と一念発起する。

同社製脱毛機の大きな特徴として、空冷方式の採用が挙げられる。IPLを発する特殊なキセノンランプは、300度C以上の高温となるため、寿命や安全性の観点からランプを冷やすことが欠かせない。従来機種がほとんど水冷方式を採っていたのに対し、同社はあえて、技術的なハードルの高い空冷化に挑戦し、見事成功した。それにより、アキレス腱の多くを解消。ユーザーの幅広い支持を得て、同社製品は野火のように広がった。

米国暮らしが長く、米国で建築業などを手掛けていた熊谷社長は帰国の際、「これからは美容が伸びる」と見通して、エステの世界に飛び込んだ。その見通しはどんぴしゃり当たった。若い男性も脱毛するような時代を迎え、エステ市場とくに脱毛市場は拡大の一途をたどる。伸びる市場に優れた製品を供給すれば、当然、業績は右肩上がりとなる。熊谷社長は「安価な中国製との競争も生じているが、品質で差別化を図っていける」と自信をのぞかせる。品質を担保するため、厳格なFDA(米国食品医薬品局)基準に対応した製品開発を心がけるなど、米国通ならではの手も打っている。

同社では新規事業として美顔サロンの全国展開を打ち出している。IPLには脱毛のほか、ニキビやシミを改善する美顔効果があることを活用。併せて、美容と健康に有用な水素を採り入れて、IPL&水素の美顔サロンを「東京五輪までに全国100店舗を開設する」(熊谷社長)方針だ。東京五輪は“水素社会”をアピールする場とされ、今後、さまざまな分野で水素への関心が高まるのは必至。時代の趨勢を捉え、美と健康のニーズ・ウォンツに応えていく同社に、社名のトマトが、ぴったりフィットする。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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