高い賃金と高年齢雇用継続給付 (2017年7月号より抜粋)  
     
 

嘱託再雇用社員の賃金をアップさせると雇用保険給付がカットされるか

 

Q

退職後に再雇用する場合、通常、当社では20万円前半の賃金水準を提示しています。しかし、まもなく定年を迎える従業員(男性)は豊富な営業人脈を持っているので、ある程度の優遇を考えています。しかし、賃金を上げると、雇用保険の高年齢継続給付に影響するといいます。どんな仕組みなのでしょうか。

 

 
 
A

支給総額に上限がある

これから60歳定年となる男性の場合、すぐには「60歳代前半の老齢厚生年金」は出ません。ですから、当面、在職老齢年金の心配は不要です。

しかし、高年齢雇用継続給付については、考慮が必要になります。

雇用保険被保険者が60歳から65歳になるまでの間、支給された賃金が60歳到達時賃金より低下した場合、高年齢雇用継続基本給付金の対象となります(雇保法第61条)。支給額は、各月に受けた賃金額に次の支給率を乗じて得た額です。

  1. その月の賃金額が60歳到達時と比べて、61%未満に低下したとき
    …支給率は15%

  2. その月の賃金額が同61%以上75%未満に低下したとき
    …支給率は15%から一定の割合で逓減するよう厚労省令で定める率

低下率が75%以上のときは、継続給付は支給されません。

しかし、ご質問にあるとおり、高年齢雇用継続給付には限度額の規定が設けられています(高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金の双方共通)。平成28年度の支給限度額は、33万9,560円と定められています。この限度額は、毎年8月1日に改定されます。平成29年8月1日以降は、平成29年度の新しい限度額(大幅な引上げ予定)が適用されるので、忘れないようにチェックしてください。

「原則のとおりに計算した継続給付の額」と「各月の賃金額」を合計した額が支給限度額を超えるときは、「支給限度額から賃金の額を減じた額」が支給されます。

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