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事業所単位の期間制限 (2018年10月号より抜粋)

派遣の契約期間が近く3年に達するが継続使用のための手続きは?

 

Q 当社では、派遣労働者を受入れていますが、そろそろ契約更新の時期が到来します。知り合いの社長さんの話では、契約更新の前に、改正派遣法に基づく「過半数代表者の意見聴取等の手続き」を行ったということです。書類の整備などなかなか煩雑な手間を要すようですが、当社でも実施の義務があるのでしょうか。

 

A 過半数代表の意見聴取を

 

「意見聴取の手続き(派遣可能期間延長の続き)」は平成27年施行の改正派遣法で創設されたものです。

 

改正法では、「事業所単位」と「個人単位」の2種類の期間制限を設けています。派遣労働者が無期雇用労働者である等の例外を除き、両者とも3年と定められています。

 

新しいルールは、改正法の施行日(平成27年9月30日)以降に締結された派遣契約から適用されます。ですから、派遣契約の締結時期に応じて、「3年の期間満了」の日が異なります。

 

貴社で、いつ派遣契約を締結・更新したか確認してください。次回の契約更新で満3年に達するのであれば、それ以降、どのような方針を取るのか、検討する必要があります。

 

事業所単位の方は、3年の期間満了後も期間延長が可能です(派遣法40条の2第3項)。一方、個人単位については更新の規定が設けられていません。

 

3年の期間満了後も派遣労働者を使いたいときは、事業所単位の期間延長の手続きを取りますが、個々の派遣労働者は人れ替える必要があります。ただし、個人単位の期間制限は「組織単位(課など)」で適用されるので、所属組織を変更すれば、同じ派遣労働者の受入れが可能です。

 

貴社で期間延長を選択したとして、その手続きをご説明します。

 

会社(派遣先)は、過半数労組(ないときは過半数代表者)の意見を聴取します。時期は「派遣の役務が提供された日から期間抵触日の1ヵ月前の日までの間」と定められています。

 

まず、書面により次の事項を過半数代表者等に通知します。

 

  1. 派遣を受ける事業所等
  2. 延長する期間

 

併せて、派遣労働者・正社員の数等に関する資料も提供します(派遣先指針)。

 

派遣期間を延長する際には次の事項を記録し、3年間保存します。

 

  1. 過半数代表者等の氏名
  2. 延長の方針を通知した日
  3. 意見聴取の日・意見の内容
  4. 意見を聴いて派遣可能期間を変更したときは、変更後の派遣可能期間

 

過半数代表者等が異議を述べたときは、抵触日の前日までに以下の事項を説明します。

 

イ延長する期間・理由
ロ異議への対応方針

 

説明事項・日時を記録し、3年間保存します。異議があっても延長自体は可能ですが、誠実に説明義務を果たすとともに、過半数代表者の意見をできる限り尊重しなければなりません。