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事業所ごとの選任義務 (2019年7月号より抜粋)

 

本社の総務部長が営業所の派遣先責任者を兼任したいが可能か

 

Q 当社の営業所で、新たに派遣労働者を受け入れることになりました。派遣会社は「営業所長」を派遣先責任者にしてほしいといいますが、所長本人は「労務の経験が乏しい」という理由で承諾を渋ります。たとえば、本社の派遣先責任者である総務部長の兼任という形では、ダメなのでしょうか。

 

A 営業所の独立性で判断

 

  派遣先責任者の役職・氏名・連絡方法は、派遣契約に記載すべき事項の一つです(派遣則22条)。ですから、契約を締結する際、人材ビジネス会社の担当者は、必ず「責任者を決めてください」といってくるはずです。
派遣先責任者は、事業所ごとに自己の雇用する専属の従業員(役員等も可)の中から選ぶ必要があります(派遣則34条)。派遣元から「営業所長にしてください」という要請があったのは、そういうわけです。
ここでいう事業所とは、「場所的に独立し、経営の単位としても独立性のある組織」をいい、基本的には雇用保険の事業所と一致するとされています。貴社の営業所が雇用保険法上、どのように扱われているか(本社と別扱いかどうか)確認してください。なお、労働保険の一括の手続きがしてあっても、雇保(保険給付の手続きの際など)・派遣法上は独立性を失わないので注意が必要です。営業所が独立した組織であれば、その事業所に専属であることが条件なので、本社・総務部長が担当(兼任)することはできません。ただし、営業所の労働者(直用+派遣)が5人以下のときは、責任者の選任不要とされています。
営業所の独立性の問題は、派遣先責任者として誰を選ぶかだけではなく、派遣の期間制限にも関連してきます。事業所単位の派遣可能期間は3年(延長可能)ですが、営業所が単独の事業所と認められれば、今回の派遣受入日が3年の起算点になります。一方、独立性がなければ直近上位の機構(本社)に包括され、本社の最初の派遣受入日から3年で期限到来です。