判例 残業命令違反で解雇は有効 (2008年8月号より抜粋)  
   

 

 
 

残業せずに定時で帰宅 命令違反で処分は有効

従業員は自分1人で仕事しているのではなく、職場てはチームプレーを心がける必要があります。本事件では、「同僚の仕事の段取りが悪い」などと主張し、残業命令に従わず、定時退社を続けていた社員の扱いが焦点になりました。会社は「非協力」を理由に社員を普通解雇しましたが、裁判所は処分には合理性があると認定しました。

E電設事件 大阪地方裁判所(平19.7.26判決)


日本の会杜は職務分掌が明確でない面もあり、1人が多量の仕事を抱えて残業していれば、周囲の人間も見かねて手伝うのが普通です。上司は、そうした「協調性・協力性」も含めて刊部下の働き振りを評価します。

本事件では、2人がペアを組んで働くなかで、業務分担をめぐるいさかいが発生しました。この種のトラブルのエッセンスが、凝縮された参考例といえるでしょう。

話の前段として、残業に非協力と非難を受けた社員Aは、それ以前に業務上の事故で腰を痛めていたという経緯を頭に入れておく必要があります。事故を受けて、Aは以前より軽易な業務に従事することになりました。

本人としては、「名誉の負傷」の後ですから、定時出杜・定時帰宅で十分という勝手な思い込みがあったかもしれません。同僚Bとペアを組んで仕事を始めましたが、業務の分担量に明らかな偏りがあり、Bの懇請を受けて、上司の都長が調整に乗り出しました。部長は、「当初定めた業務分担にかかわらず、同僚の作業に協力して残業する」よう業務命令を発しました。

しかし、裁判所の認定事実によると、「Aは部長の度重なる注意にもかかわらず、同僚に対して残業を押し付ける」という態度を改めませんでした。Aは、「同僚Bがしばしば他の同僚と雑談するなどして、時間を浪費しており、その結果、作業が遅くなっているので、自分が残業してまでBの作業に合わせる必要はない」と主張しました。「どのみち長時間残業しないと間に合わない」と覚悟した場合、仕事の密度が低下するのは、よくみられる現象です。

一方、残業予定のない人間は、帰社前にラストスパートをかけて仕事を処理します。両者の意識ギャップは、往々にして仕事上の摩擦を生みます。

積もり積もった憤懣は、両者だけでは処理できず、最終的に、会杜は「会杜業務の運営を妨げ、著しく非協力的なとき」に該当するとして、Aを解雇処分に処しました。裁判所は「Aとしては早期の帰宅を望み、それに向けた努力をしたことがうかがえるが、残業をほとんど拒否し、同僚に押し付けたという事実に照らすと、解雇は権利濫用には当たらない」と判示しました。腰痛についても、「そのため業務に従事できなかった二とをうかがわせる事情はない」と述べています。

裁量労働・フレックスタイム制の対象者ではないのですから、部長による仕事の段取りに従わないのは立派な「業務命令違反」で、処分の対象となるのは当然といえるでしょう。

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